サウジ攻撃:考えるべきイランの「関与・支援」の意味、フーシ派の動機

Al-Arabiya via AP, File

 サウジアラビア東部にある国有企業「サウジアラムコ」の石油施設2ヶ所が14日、複数のドローンやミサイルによる攻撃を受けた。今回の攻撃によって石油の生産や価格に一時大きな影響が出たことから、日本でも広く報道された。

 今回の事件について、米国やサウジアラビアは、イランが実行したと一貫して主張しているが、イランは証拠がないとして関与を否定し続けている。そのようななか、イランが支援するイエメンのイスラム教シーア派組織「フーシ派(Houthis)」が犯行を認める声明を出しているが、この攻撃で使われた巡航ミサイルやドローンが、イエメンとは反対のイラン南東部から発射されたとの情報があり、依然として確証的な背景はわかっていない。

◆いつもと変わらない構図
 今回の事件は世界中のメディアの注目を集めたが、近年の構図となんら変わるものではない。その構図は簡単に言うと、「サウジアラビア領内にミサイルなどが打ち込まれ、フーシ派が犯行声明を出し、サウジアラビアや米国がイランの関与を指摘し、イランがそれを否定する」というものだ。

 近年、フーシ派は、イエメンからサウジ南東部にある石油施設や国際空港だけでなく、首都リヤドに向けてもミサイルやドローンを発射している。上空で撃墜されるものの一部で死傷者が出ている。

 しかし、毎回の事件後に残るのは、「イランがいつ、どのように、どこまで関与したのか」という疑問だ。これがはっきりしないことから、イラン情勢は良くも悪くも動かない。

Text by 和田大樹