台湾にF-16V戦闘機66機、米が売却へ 「より攻撃的で挑発的」中国紙

Aijaz Rahi / AP Photo

◆従来の輸出と一線画す
 台湾への武器輸出は継続的に行われてきたものの、今回承認された戦闘機の売却は異質のものとなる。NYT紙によると売却額は80億ドル(約8500億円)で、アメリカと台湾間の一度の武器取引額としては近年で最大の規模だ。トランプ政権から台湾への武器輸出は過去3度行われているが、最初の2件の合計は20億ドルに満たない水準だった。

 一挙に大量の戦闘機を調達する見通しが立った台湾だが、アジア・タイムズ紙は、まだ解決すべき課題が残っていると指摘する。F-16Vはステルス性能を有するが、その維持には定期的なメンテナンス作業が必須だ。機密性が非常に高いこの作業を、中国からの工作員が潜入しているとの見方がある台湾で実施できるのかという問題がある。また、台湾空軍の人材不足も深刻だ。台湾では旧型のF-16をアップグレードするフェニックス・ライジングと呼ばれる計画が進んでいるが、今年4月にはその遅れを原因として責任者が解雇されている。

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Text by 青葉やまと