核合意が危機にも……英国とイランの緊張が変える湾岸情勢

イラン革命防衛隊が英タンカー「ステナ・インペロ」を拿捕|Hasan Shirvani / Mizan News Agency via AP

◆静観する中国とロシア
 なぜ、イランは強硬的な姿勢を取り続けることができるのか。トランプ政権がイランとの軍事衝突は望んでいないことは明らかだとしても、やはり国際社会で存在感を増している中国、そして中東で影響力を高めるロシアの存在は大きいのだろう。昔と比べ、米国と対立することによるリスクやコストは低くなっている。中国が上海協力機構や一帯一路、AIIBのように、自らが主導する国際秩序作りを進めるなか、イランとしてもそれらに加わることで「対米」で強気の姿勢で臨める環境ができている。

 仮に、今後、欧州3ヶ国が米国に接近し、「欧米vsイラン」の状況が先鋭化すれば、中国やロシアはこの問題でより突っ込んだ意思を示してくることも考えられる。今後は、中国やロシアがイラン核合意をめぐってどう出てくるかも一つのポイントだろう。また、英国ではポリス・ジョンソン氏が新たに首相となった。ジョンソン氏がイランとどう向き合っていくかも注目される。

Text by 和田大樹