核合意が危機にも……英国とイランの緊張が変える湾岸情勢
◆核合意そのものが無効となるのか
これまでのイラン核合意をめぐる各国の立ち位置は、対立する米国とイラン、その狭間に陥る英仏独、イランの後ろから状況を眺める中国とロシアという構図だった。
ところが、今回、英国とイランの間で緊張が高まり、仏独も同様の懸念を示すなか、イラン核合意そのものの無効化が懸念される事態となっている。これまでの構図では、いわば欧州3ヶ国が仲裁的な立場で、核合意そのものの有効性を維持させようとする立場にあったが、英仏独とイランの間で緊張が高まるならば、仲裁的な役割を果たすアクターがいなくなってしまう。当然、米国がその役割を果たすわけではないし、残念ながら、電撃的なイラン訪問を行った安倍首相(日本)がそれを担える立場にはない。
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