ウイグル問題、37ヶ国が中国擁護……国際的非難かわす中国の2つの戦略

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 7月上旬、日本は中国による少数民族ウイグル族への処遇を非難する書簡に、フランスやドイツ、英国など22ヶ国とともに共同署名した。中国西部新疆ウイグル自治区では、北京によるウイグル族への弾圧や人権侵害が横行しており、100万人ものウイグル人が「職業訓練所」という名の収容所での生活を余儀なくされているという。しかし、ロシアや北朝鮮、パキスタン、シリア、アルジェリア、サウジアラビアやエジプトなど37ヶ国は中国を擁護する立場をとっている。中国はいかにしてウイグル問題での非難をかわし、支持を得ようとしているのか。これには大きく中国の2つの戦略があると考えられる。

◆経済的利益を優先するイスラム諸国
 まず、中国には、経済関係を強化することで各国からの非難をかわそうとする狙いがある。中国の一帯一路構想が中東やアフリカにも積極的に展開されていることは有名な話であるが、それによってイスラム諸国は中国と経済的関係を深めている。

 パキスタンは「中パ経済回廊(CPEC)」によって中国依存を深め、サウジアラビアのムハンマド皇太子は今年2月に中国を訪問して、一帯一路で経済協力を強化する姿勢を示した。現在、イスラム諸国自身が、イスラム教徒の国際的連帯より経済的利益を優先する状況にあり、言い換えれば、一帯一路によって、イスラム諸国が中国を非難できない状況にあるともいえる。

Text by 和田大樹