米空軍、レーザー兵器でのミサイル迎撃に成功 21年に戦闘機に搭載へ
◆空中戦の様相は一変
レーザー光線によるミサイル撃墜は、状況を一変するほど革新的な技術になり得る可能性がある、とデフェンス・ニュース誌は指摘する。空中発射レーザーの実現は米空軍の長年の悲願だった。実用化すれば、戦闘機の脅威であるミサイルを、既存の迎撃手法よりも大量かつ安価に破壊できる。ロッキード社のレーザー兵器担当者は、これまでは小型化が課題で実現が困難だったと語る。しかし、光ファイバーをレーザー媒質として利用するファイバーレーザー技術の進歩により、実現の目処が立った。消費電力は最小限に抑えられており、かつ廃熱量も小さい、と担当者は長所を強調している。
ポピュラー・メカニクス誌は、SHiELDが実現すれば空中戦にもたらす影響は甚大だと予測している。現状では、空対空ミサイルからの防衛手段としては、追尾ミサイル向けにダミーの熱源を散布するフレア、レーダーを阻害するチャフ、そして電磁波を妨害する電子攻撃の3タイプが主流となっている。これらはいずれも消極防御であり、ミサイルそのものに作用しないと同誌は指摘する。今回実験に成功したレーザー兵器は積極防御にあたり、従来手法とは一線を画する。具体的にレーザーがミサイルを無力化する手法としては、赤外線検知器の破壊により追尾性能を喪失させる、ミサイル本体や動翼を損傷させ飛翔不能にする、あるいはレーザー光の熱エネルギーで動力部または弾頭を発火させる、など多数のシナリオが考えられるという。
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