比大統領「中国が手を出すなら自爆作戦」 南シナ海めぐる最新動向
国際貿易上きわめて重要で、かつ、漁業資源に富み、石油とガスの埋蔵量も豊富と推定される南シナ海においては、そこにある島々やサンゴ礁、ラグーンなどの領有をめぐって、中国と近隣諸国との間で何度も抗争が繰り返されてきた。ここでは、この海域の最新動向を報告する。
編集者注:この記事は、領有権をめぐる紛争の絶えない南シナ海をめぐる最近1週間の動向をまとめたものである。
◆フィリピンの島々の付近を航行する中国船舶について、アメリカが懸念を表明
アメリカの高官は、フィリピンが実効支配する島々の付近に多数の中国船舶が存在している現状について、「懸念すべきこと」だと述べている。
フィリピン政府は4月4日、今年1月から3月にかけ、フィリピンが占有するパグアサ島の付近、その領有権が争われているサンディケイの海域において200隻以上にのぼる中国の艦船を確認したとして、中国船の動きに対して抗議を表明した。
4月5日、タイのバンコクを訪問中にこの件について記者から質問を受けた南アジア・東南アジア担当国防副次官補のジョセフ・フェルター氏は、「アメリカとしては、南シナ海をとりまくすべての国々の挑発的行動を問題視しています。今回の件では、これが中国に当てはまります。我々にとっては懸念材料です」と語る。
「今回の件における一連の中国の活動は、いささか攻撃的かつ挑発的であり、我々としてはそれらが不必要で不当なものだと認識しています」。ASEANの防衛当局高級事務レベル会合に出席するためタイを訪問中のフェルター氏は、そのようにコメントしている。
現在フィリピンは、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島内の9つの島と環礁を実効支配しており、それらがパラワン州西部のカラヤーンという自治体に属すると主張している。しかしこのフィリピンの主張は、中国、ベトナム、その他の3ヶ国がそれぞれ主張する領海の線引きとは相容れないものであり、アジアのこの地における長年の係争の一因となっている。
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