日本に再チャンスも? 豪潜水艦プロジェクト、豪仏のSPA交渉が難航

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◆豪仏間の協定交渉が難航 潜水艦プロジェクトにも影響
 潜水艦の詳細な設計契約を確定させ建造を開始する前に、潜水艦プログラムを進めるための諸条件を網羅した豪仏間のSPAが必要となる。ところがオーストラリア放送協会(ABC)は、この交渉がうまく行っておらず、9月に行なわれる予定だったネーバル・グループの幹部、仏国防相、豪防衛相、豪防衛産業相との会合が延期されたと報じている。パイン豪防衛相はこの報道に対し、プロジェクトは予定通りだとメディアに話している。

 交渉停滞の原因は、知的財産権や補償条件などに関し両国間で合意が得られないためだとディプロマット誌は報じている。また、現在国有企業であるネーバル・グループが民営化した場合の影響を、豪側が懸念しているとも報じている。

◆豪選挙の結果次第で日本に再びチャンスも
 ABCによれば、関係者の間では、今年中にSPAを締結するのは無理ではないかという見方があるという。オーストラリアは来年に連邦選挙を控えており、選挙の結果次第では、現在のフランスによる潜水艦プロジェクト自体が完全に流れてしまう可能性もあるとしている。

 豪戦略政策研究所のシニアアナリスト、マーカス・ヘリヤー氏は豪紙に対し、もしもプロジェクトの遅延が長引くようなら、オーストラリアは老朽化した現在のコリンズ級の潜水艦を、さらに30年間使い続ける羽目になるかもしれないと述べる。これにより、オーストラリアの地域における戦略的軍事的優位が損なわれる可能性もあるとしている(ガーディアン紙)。

 ABCによれば、野党労働党は選挙に勝利すれば潜水艦プロジェクトの見直しをすると表明している。そうなれば前回受注を逃した日本にも、新たなチャンスが巡って来るかもしれない。

Text by 山川 真智子