日本の防衛産業、先行きに暗雲 米からの輸入が急増 輸出は苦戦続く

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 日本の防衛産業に逆風が吹いている。安倍政権の下、防衛費は増加し続けているものの、自衛隊向けの国産武器のシェアは米国製品に押されぎみで、輸出解禁後の海外契約実績もゼロに近い。政府は、国内防衛産業基盤の維持と輸出の拡大を掲げているが、「雲行きは怪しい」(米防衛専門誌ディフェンス・ニュース)と、海外メディアの見方も厳しい。

◆米FMSが5年で10倍超に
 ディフェンス・ニュースは、日本のFMS(アメリカ有償軍事援助=米政府を通じて高性能武器を購入するプログラム)が、2016年度に5年前の10倍を超える過去最高の44億ドルに跳ね上がった点に着目。防衛力強化を掲げる安倍政権と武器輸出に熱心なトランプ政権の発足が重なった影響が顕著に表れた。

 日本の防衛産業は、戦後の武器輸出三原則の下、国内市場に特化してきた。ディフェンス・ニュースが発表している今年の「防衛企業トップ100」には、日本の9社もランクインしている。このうち2トップの三菱重工と川崎重工はトップ50に入った。同誌は、これらの日本企業が現在進行形で進める大型契約に、陸上自衛隊向けの新型装輪戦車(16式機動戦闘車)、海上自衛隊向けのイージス艦、潜水艦などを挙げている。

 一方、国産戦闘機の三菱F-2が生産終了し、後継機の国内開発が暗礁に乗り上げるなど、特に航空自衛隊では相対的にアメリカ製武器への依存度が高くなっている。ブルームバーグは、2015年からFMSが急増している背景として、F-35A戦闘機、オスプレイ垂直離着陸機、イージスシステムなどの米国製高額武器の購入が重なっている点を挙げている。

Text by 内村 浩介