「日本は独裁を支持している」カンボジア総選挙への支援めぐり、現地などから非難の声
◆在外カンボジア人から日本非難の声
海外亡命中のCNRPの幹部らは、日本政府に対し、事実上フン・セン政権の傀儡(かいらい)と化している選挙管理委員会への資金提供をやめ、民主主義の庇護者となるよう繰り返し求めている。同党のムー・ソクフア副党首は、先日ノルウエーで開かれた民主化フォーラムで、「中国にカンボジアを取られることを心配するよりも、民主主義の側に立つことを優先すべきだ」と、日本を非難した(香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト)。
在外カンボジア人らによる日本の選挙支援に反対するデモも、日本、アメリカ、韓国、カナダで行われた。しかし、豪シンクタンクが発行する国際評論メディア『The Interpreter』でこの件を論評しているカンボジア系カナダ人研究者のダレン・タッチ氏は、そうした圧力があってもなお、日本の姿勢は揺るがないと見る。
「日本の総選挙へのアプローチは非常に戦略的だ。西欧諸国の撤退を受け、カンボジアにおける影響力とプレゼンスの維持を狙っている。同時に、地域における中国の役割の拡大を強く意識している。(中略)日本が選挙支援をやめれば、何十年もかけて築いてきたカンボジアとの関係は悪化し、中国の影響力がさらに強まることになるだろう」と同氏は書く。
◆選挙支援=独裁支持?
日本政府は、表向きはカンボジア政府に「自由で公平な選挙の実施」を求めている。しかし、米CNBCニュースは、日本政府はこれまで、フン・セン政権の人権侵害には一切触れていないと批判的だ。同メディアにコメントを寄せている識者も「安倍政権下の日本は、カンボジアに対し、西欧諸国が最大の焦点としている人権よりも、貿易と投資が大事だというメッセージを送っている」と辛辣だ。
というのも、今回の選挙に絡む野党への弾圧以前にも、フン・セン首相の長期政権の間に汚職が蔓延し、政治的な処刑や人権活動家の弾圧がしばしば行われてきたと西側諸国では広く認識されているからだ。今回の選挙を支援することは事実上フン・セン政権を直接支援することであり、民主主義の擁護とは正反対の行動だと、西側諸国や国連が非難するのも致し方がない面がある。
CNRPのソクフア副党首は、次のようにも述べている。「フン・セン氏を支援するということは、独裁を支持することだ。そして、フン・セン氏は、選挙後も中国企業により多くの利権を与えるだろう。日本は自らの投資分を守りたいのなら、なおさら民主主義の側に留まるべきだ」(CNBC)。利を取るためにもここは大義を守るべきだったのか。日本が下した決断の明暗が決する日は近い。
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