2017年世界の軍事費:インド、フランス抜き5位 「意外にも」ロシアは縮小
2017年の世界各国の防衛支出の統計が、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)から発表された。それによれば、全世界の軍事費の合計は1兆7400億ドル。前年比で1.1%増となり、横ばい傾向から5年ぶりに増加に転じた。内訳を見ると、中国、インド、サウジアラビアなどのアジア・中東諸国の軍事費増が目立ち、逆にロシアを含む欧州諸国は減少傾向となっている。日本は横ばい傾向が続き、順位も変わらず8位だった。
◆アジア・中東へシフト
SIPRIはスウェーデンに本拠を置く軍事問題を専門とするシンクタンク。毎年世界各国の軍事費の統計と分析を発表しており、世界の軍事的パワーバランスを計る指標となっている。今回も多くの海外メディアが、最新の統計をもとに分析記事を出している。
最新の2017年の統計では、トップ15は、1位アメリカ(6100億ドル)、2位中国(2280億ドル)、3位サウジアラビア(694億ドル)、4位ロシア(663億ドル)、5位インド(639億ドル)、6位フランス(578億ドル)、7位イギリス(472億ドル)、8位日本(454億ドル)、9位ドイツ(443億ドル)、10位韓国(392億ドル)、11位ブラジル(293億ドル)、12位イタリア(292億ドル)、13位オーストラリア(275億ドル)、14位カナダ(206億ドル)、15位トルコ(182億ドル)となっている。
米外交誌ナショナル・インタレストはこれを受け、トップ5が世界の軍事費の60%を占めていることを強調。また、全世界合計では1.1%増となり、2012年から2016年まで続いた横ばい傾向が、再びそれ以前の緩やかな増加傾向に転じた点にも着目している。SIPRIは、増加の要因は「主に中国、インド、サウジアラビアといったアジア・中東諸国の予算増によるもの」だと指摘。反対に、欧州・NATO加盟国は減少傾向にあり、「欧州・大西洋地域から明らかに(アジア・中東に)シフトしている」と分析している。
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