中国の「条件付き」アフリカ援助に米が警鐘 それでも中国が歓迎される理由

Jonathan Ernst / pool via AP

 ジブチ沿岸の港とアフリカ内陸エチオピアの首都アジスアベバを結んでアフリカの砂漠地帯を蛇行していく新しい鉄道が開通し、電車の運行が始まっている。

 中国人がこの鉄道工事に携わり、ジブチ港湾設備の一部、および、隣接する新しい軍事基地も建設した。この鉄道の他方の終点であるアジスアベバ側では、中国ドル資金が潤沢に流入し、新しい路面電車が開通し、環状道路が新たに整備され、銀色に輝いて高くそびえるアフリカ連合の本部ビルが建設された。

 この変貌ぶりは、大西洋をはさんでアメリカの目に留まった。

                                                                                                                 

 ジブチからエチオピア、ケニアからエジプトまで アフリカにあふれるほど流入した中国の潤沢な資金が実は重大な条件付きでの投資であることに対し、アメリカは警鐘を鳴らしている。アメリカは、この投資には明確に新植民地主義的な含意が見られる、として注意を呼び掛けた。中国が港湾、道路および鉄道の建設へ驚くほど手厚い投資を行うことで、アフリカ諸国家の中国への依存、国民からの搾取、そして、国民の基本的な主権への侵入が生じている、とアメリカは危惧を表明している。

「我々は、中国が投資するドルをアフリカから締め出そうと、多少なりとも試みているわけではない。それら資金の拠出はアフリカ諸国から渇望されているものだ」と、前アメリカ合衆国国務長官レックス・ティラーソン氏は今週、エチオピアの首都アジスアベバで語り、「しかし、アフリカ諸国が慎重にその投資条件を検討することが非常に重要だ、と我々は考えている」とした。

 これらの投資条件は、新たな建設事業が生み出す雇用に対し、アフリカ人労働者ではなく、中国人労働者が従事することを認める取引につながりかねない、と、ティラーソン氏やアメリカ当局者は警告し、中国企業はアメリカの企業とは異なり、贈賄防止の法令を遵守せず、アフリカにまん延する腐敗や汚職を助長することになる、と語った。また、国家が財政難に陥った場合、歴史的にこれまで債務を免除してくれるとは限らなかった貸し手である中国に対し債務不履行となった場合、国家の経済基盤が制御不能に陥る恐れが多分にある、とした。

 アフリカ諸国の中には、現在、年間経済産出量の2倍の額にものぼる借金を抱えている国々もあり、そのほとんどが中国からの借金を負っている状況だ、とアメリカは考えている。ジブチのマハムード・アリ・ユースフ外務大臣は3月9日、ジブチの合計負債額はGDPのおよそ84パーセントに相当する額にのぼっている、と認めた。

 アメリカの筆頭外交官としてティラーソン前国務長官がアフリカ沿岸の小国、ジブチを訪問した時、その隣に並んだユースフ外務大臣は「しかし、我々はその負債を心配していない」と語った。そして、「強靭な経済基盤を持たずに国家を開発し発展させていくことはできない。中国は、その観点から見れば、非常に秀れたパートナーである」と話した。

 アメリカが、自国と自国の企業をアフリカ諸国にとって中国よりも望ましいパートナーに仕立て上げたい理由は明白だ。中国は地理的・政治的に競合であり、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、そして中東諸国への影響を強めている経済面での競争相手であるからだ。

 しかし、アフリカの政治家と経済学者は、そこに問題がある、と言う。アメリカとは違い、中国は、大金の入った財布を片手に持ちながら、気前よく札束をばらまきつつアフリカ大陸での存在感を徐々に増している。貧しい国々へ投資することに対し、予測不能なリスクが付きまとうことを考慮すれば、たいていの場合、そのリスクを甘受した上で投資してくれるのは中国だけである。

 そして、アメリカが支援に乗り出す時は、人権や優れた統治について口やかましく干渉が入るのが常であるが、中国が投資してくれる場合にはそういった余計な煩わしさが無いことをアフリカ諸国はよく知っている。

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中国の出資によって建てられたアフリカ連合会議センター(Ding Haitao / Xinhua via AP)

 前連邦準備制度経済学者であり、ブルッキングズ研究所のアフリカ人学者でもあるブラヒーマ・クーリバリ氏は、「中国は基本的にいつでもビジネスを行うつもりでいる」と言う。そして「中国とパートナーを組むことに好意的な国であれば、中国にとって意味があり、中国が抱く遠謀にとって望ましい方法を選んだうえで、どんな小国とでも関係を結ぶ」と話す。

 中国は、アフリカを含め世界中いたる所での中国企業が搾取的であるという論調に激しく抗議し、代わりに、中国が寛大であるからこそ、世界の他の国々が経済的、社会的な発展を遂げることが約束されるのだ、と主張している。

 中華人民共和国外交部の王毅氏は3月8日、年次記者会見において、「支配者は誰もおらず、全ての当事者は平等な立場で参加している」と言い、「何一つ秘密の運用は無く、オープンで透明な運用があるだけだ、『勝者独り占め』ではなく、全員が相互の恩恵を認め合い、『互いに利益のある』結果を得ているのだ」とした。

 中国の「一帯一路」構想に基づく目を見張るほどの巨額投資は数兆ドルにものぼると考えられており、これは、中国を中心とする新たな世界的規模の経済システムの構築を推進するアジアの大国、中国の威力発揮のほんの一部に過ぎないものだ。アメリカにとって中国の経済投資と同様に警戒の対象となっているのが中国の軍事計画だ。

 中国は、ヨーロッパとアジアを結ぶ重要な航路に沿う初の海外拠点をジブチに創設した。中国の「真珠の首飾り」戦略は、中国からペルシャ湾まで伸びている港湾ネットワークの構築を狙いとする。ここのところ中国は人工島の建築に余念が無く、海岸から遠く離れた水域まで支配を広げるために人工島の武装化へ踏み込みつつある。

 ジブチは中国から非常に大きな恩義を受けた国であるが、ここに完成した新しい中国の拠点は、唯一アフリカに常設されているアメリカ軍基地からわずか数マイルしか離れていない。このジブチの拠点が現在のところアフリカに置かれた唯一の中国の拠点だが、アメリカアフリカ軍の長官、トーマス・ワルドハウザー海兵隊大将は今週、「そんな基地が今後増えることだろう」と予測した。

「中国がジブチの拠点において実施している行動をスパイ防止活動の観点で行っているだけ、と無邪気に考えているほど我々もお人好しではない。スパイ活動は実際に行われている」とワルドハウザー大将は下院軍事委員会に話した。そして、「しかるに、我々は用心と警戒を怠ってはならない、ということを意味している」とした。

 良かれ悪しかれ、中国の野望に対するアメリカの猜疑心は留まることを知らず、アフリカという範囲を遥かに超えている。中国企業はパキスタンとキルギスタンで発電所の建設や資金援助を行い、ギリシャの港の管理を担当し、タイやタジキスタンで鉄道建設プロジェクトに参画し、中南米へも継続的で積極的な進出を計画中である。

 批評家たちは、過去に習うべき教訓がある、と言う。

 スリランカでは2015年、元大統領が選挙戦で驚くべき歴史的な大敗を喫した。ハムバントタ港建設費用の捻出のために中国に負った債務がかさみ、その合計がおよそ50億ドルになったことを対立候補が批判した後のことだ。この借金のうち15億ドルの返済が遅延していたが、スリランカ政府は12月、所有していたハムバントタ港の80パーセントの権益を中国の国有企業に売却した。

 アフリカでは、中国が資金提供を行って建築した道路があちこち崩壊し始めた。アメリカはこれを手抜き工事のせいである、としている。フランスの新聞、ル・モンド紙は1月、2012年に中国がアフリカ連合のために2億ドルの費用を掛けて建築した本部ビルに盗聴器を仕掛けていた、と報じた。しかし、中国はこれを否定している。

By JOSH LEDERMAN, Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

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