ラーメン大好き!オランダ人に「ヌーハラ」はある? ドン引きしたけど……!?
英語と同様、オランダ語でもスープは「飲む」ではなく「食べる」と表現する。ただ飲むだけ、つまり、主食の横にちょっと添えられるものではなく、りっぱに一つの料理として「食べる」ために堂々と食卓に上るメニューのひとつというわけだ。そのメイン・ディッシュにもなりえるスープに、おいしい麵を入れたラーメンがオランダで人気を呼んでいる。呼び名はラーメンではなく、「ヌードル・スープ」と称されており、「これだ!」という決め手になるような郷土料理がないオランダにあって、その美味しさが好評を博しているようだ。
もともとオランダ人は、食に関してかなり広い守備範囲を持っている。かつて南米のスリナム、カリブ海諸島のアルバ、そしてインドネシアなどを統治していた歴史的背景をもち、珍しい食材や料理が本国に持ち込まれていたため、エキゾチックな料理を取り込むことにまったく抵抗がない。ラーメンもしかり、である。
◆すごい音に驚愕……
ところが、麺類をすする音はさしものオランダ人をびっくりさせているようだ。隣で麺を食べている日本人(らしき)人物が、威勢よく麺をすすって食べているのを目の当たりにするたび、「あまりの音にドン引きした」という人も多い。「なんだか、すごい音を立てているから怖くなった」、「熱い麺をムリヤリすすると、ああいう音を出さざるを得ないのか?」などなど驚愕しきり、といったところだ。
しかし、日本ではおいしさを表現するために麺をすすることは普通なのだ、と説けば、すんなりと納得してくれる人がほとんどである。麺がスープの中に長い間浸かっていれば、のびてしまっておいしくなくなるので、さっさと食べればああいう音も出るんだろうね、と持論を展開するオランダ人もいるほどだ。
巷で話題の「ヌーハラ」に関しても、麺をすすって音を出すのがある意味で「文化」や「習慣」であるのなら、それを無理矢理やめることはない、と彼らはあくまで寛大だ。ただ、レストランのあちこちから麺をすする音が大音響で聞こえてくるとなると、やはり違和感を覚えるだろう、と考える人は多い。
◆日本ならばOK
つまり、「日本国内にあるラーメン店で麺をすすることを自粛する必要はないが、できれば、海外のラーメン店内では控えめにしたほうがいいのでは?」というのが彼らの本音のようである。
チャーシューやコーン、海苔などバラエティに富んだトッピングが乗ったラーメンは彼らにとって満足度100%の超豪華な「スープ」だ。ラーメン体験をしたオランダ人たちは、豚骨やトリガラ、そして各種香辛料を長時間煮込んで丹念に作られたスープを味わいつつ、コシの強い麺に舌鼓を打つ醍醐味をよく知っている。したがって、おいしさを表現するために音を出して麺をすすることも、まったくもって非常識とは思わないのだ。
トレンド食として人気を不動のものとしつつあるラーメンは、寿司と同様の地位を獲得する勢いである。ならば、今はともかく「ヌーハラ」が近い将来、オランダでも巻き起こる可能性があるのではないか? しかし、ラーメン・ファンのオランダ人いわく、「ないね。ラーメンはもともと、日本のものでしょ? 日本人は音を立てて食べるのが習慣なんだし、おいしければそれでよし!」なるほど、それもうなずけるかもしれない。