NZ、日本などにスパイ活動 「スノーデン文書」で暴露 米英などと情報共有か

 ニュージーランド・ヘラルド(NZH)、とオンライン・ニュースサイト『インターセプト』が共同で、ニュージーランドの政府通信保安局(GCSB)が、アメリカの諜報活動の隙間を埋めるために、日本を含むアジア太平洋諸国の通信を傍受していた、と暴露記事を掲載した。これは、米国家安全保障局(NSA)の元職員だったエドワード・スノーデン氏が、米諜報活動の内部情報を示す文書を同メディアに提供したため、明らかになった。

◆NSAとGCSB
 11日付のNZHが明らかにしたところによると、ニュージーランドは、日本、中国、インド、太平洋上のフランス領土などを含む、20の国へのスパイ活動を行っていた。

 NZHの記事を書いたニッキー・ヘイガー氏らは、GCSBがワイホパイ基地の衛星情報傍受システムを使い、情報収集や国外の通信ネットワークへの侵入を行い、さらには世界各国にある自国の大使館や領事館に設置した極秘のリスニングポスト(情報収集拠点)でも、情報を集めていた、としている(DW)

 NZHは、2013年4月にNSAによって作成されたGCSBに対する評価を引用している。そこには、GCSBは、「アメリカが入手し難い地域や国の情報を…NSAに提供するという点で、特別な有用性を維持している」と書かれていた。文書では、NSAとニュージーランド、GCSBの関係について、「極めて重要な優先事項」と記されていた(英ガーディアン)。

 ロイターは、GCSBについて、他の政府機関の承認がなければ自国民の情報をスパイすることは禁じられているが、海外での活動は違法とする法律はない、と報じている。

◆「ファイブ・アイズ」の一員として
 ニュージーランドは、アメリカのNSAが主導し、イギリス、カナダ、オーストラリアが連携して諜報活動を行うネットワーク「The Five Eyes(5ヵ国の目)」に属している。

 同国会の情報委員会に出席したGCSBのウナ・ジャゴース長官代理は、GCSBはファイブ・アイズの情報を共有しているが、彼らに代わって情報を傍受したりはしていないと答弁した(DW)。ジャゴース氏は、当局の活動の詳細は明らかにできないとし、「はい、これはやっています、いいえ、これはやっていませんと答えることは非常に難しい」(DW)と述べた。また、GCSBは法的な根拠に基づいて運営されているとし「全ての(情報の)収集活動は正当と認めれらるものだ」(DW)と述べた。

 内閣省のレベッカ・キットリッジ氏は、委員会で、「情報の無差別な収集はしていない」と説明した。また、同氏は、ラジオ放送局『ニュージーランド』で、ニュージーランド保安情報局はファイブ・アイズと情報を共有する前に、慎重に内容を吟味していると述べた(DW)。

 NSAが2013年4月に作成した文書では、GCSBが集めた情報は、NSAや、オーストラリア、イギリス、カナダ、など、ファイブ・アイズに参加する国に渡された、とされている(ロイター)。ヘイガー氏は、「ニュージーランドのためだけに行ったとするならば、かの国々に対してハイテクを駆使した諜報活動を行うことはありえない」とし、筋道の通った理由があるとすれば、アメリカの同盟国としての役割を果たしたというところだろう、と推測している。(ロイター)

Text by NewSphere 編集部