中国人識者“日本企業の製品開発を学べ” 人民日報“中国製品を買って愛国心を示せ”
日本を訪れた中国人旅行客が大量に日本製品を購入する様子は、これまで頻繁に報道されている。最近では特に、日本製の高機能便座が大人気だ、と中国紙を含め海外各紙が報じた。
◆日本製便座に中国人が殺到
ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、「お尻外交:中国消費者、日本のトイレ販売店にはまる」と題する記事を掲載した。
同紙によると、中国人買い物客の日本製便座に対する熱狂は、中国の国営放送でも報じられたという。報道では、彼らが団体で店に押しかけ、半日ですべての商品を買い占めてしまい、日本人の担当者が困惑する様子が映されていたそうだ。
オーストラリアのウェブメディア『ビジネス・スペクテイター』は、「なぜ中国の消費者は日本製の便座を愛しているのか?」との見出しだ。同紙によると、中国のSNSで今最も話題となっている記事は、中国の著名経済ライター呉暁波氏が書いた「なぜ、日本で便座を買うのか?」だという。
中国共産党機関紙環球時報の社説では、多くの中国人ネットユーザーが日本製商品の品質の高さを証言している、と書いている。
しかしながら、中国国営人民日報が、日本製便座ブームについて「日本のトイレの方が臭くない」のは事実かと疑問を呈していると、WSJが伝えている。人民日報は中国国民が、「中国製よりも海外製品のほうが優れていると盲目的に信じている」と中国人買い物客を厳しく批判。「国民は自国の産業を支えるため、中国製品を買うのが良いのではないか。それが愛国心を示すことになるのではないか?」(WSJ)と苦言した。
◆中国企業は日本に学ぶべき
ビジネス・スペクテイターは、なぜ、中国人は日本を訪問し、生活必需品の包丁や炊飯器、さらには便座まで買ってしまうのか背景を解説している。
同メディアは、中国消費者が海外製品に走るのは、中国経済の40%以上を支える同国製造業の核心的な問題だ、と指摘。中国の製造業は現在、価格や流通に優れているという従来の長所を失いつつあり、産業全体が刷新か消滅かの岐路に立たされているという。
これまで中国は、安い労働力、土地、原料、税金、そして最悪なのは、環境対策を全く無視して国際的な価格競争を勝ち上がった、しかし今や、中国人労働者を1日2ドルで、こき使うことができるなどという神話は忘れる必要がある、と同メディアは、実際の数字を挙げた。それによると、中国は発展途上国のなかで、最も賃金が高い国のひとつだ。2000年から2013年の平均賃金は年率11.4%上昇し、年収はタイやフィリピンより30%も多い6500ドルだ。また、広い国土を利用した流通経路も、eコマースの発達で、有利ではなくなってきた、と分析した。
呉暁波氏が示したこの問題の解決策は単純だという。中国企業は、未踏の分野に乗り出したり、魅力的な新しい産業に投資したりするのではなく、日本企業のやり方に学ぶべきだというのだ。それは、ハイテク便座に見られるように、既存の製品の品質向上をたゆまず追求し、改良を一貫してつづけることだ、としている。ビジネス・スペクテイターは良い例として、白モノ家電で成功を収めたハイアールを挙げている。
環球時報は、「日本で炊飯器を買い漁るのは恥ずかしいが、もっと恥ずかしいのは、中国企業が優れた便座や炊飯器を作ることができないということだ」とのネットユーザーのコメントを報じている。