米議員“北朝鮮のハッキングは戦争行為”と怒り オバマ大統領に強硬策求める

 「平和の守護者(Guardians of Peace)」と名乗る団体からのソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃に、北朝鮮が関与していたと、19日にFBIが断定した。この事件への対応をめぐり、オバマ大統領と共和党の意見が対立している。

◆北は関与を否定
 オバマ大統領は、CNNのインタビューに答え、北朝鮮によるハッキングを「とても大きな損失を伴う、高くつく『サイバー破壊行為』だ」と非難し、「相応の対抗措置」を取ると述べた(ブルームバーグ)。

 北朝鮮は、関与を否定。国営朝鮮中央通信は、すでに今まで最も厳しい対抗措置を講じてきた北朝鮮が、映画会社単体を標的にするなど計算違いだと一蹴した。しかし、標的は「アメリカ帝国主義のすべての砦だ」と述べ、「ホワイトハウス、ペンタゴン、すべてのアメリカ本土のテロリズムの巣窟に対し」、アメリカを「はるかにしのぐ対抗措置が大胆に取られるだろう」と警告した(CNN)。

◆共和党は強硬
 オバマ大統領は、北朝鮮をテロ支援国家と再認定することも可能と発言(ガーディアン)。また、軍事的対応も除外はせず、調査後に適切に対応を決定すると述べたが、共和党議員たちは反発している(ブルームバーグ)。

 ジョン・マケイン上院議員は、事件は「間違いなく戦争行為」と断定。「経済組織を壊し、世界に、特にアメリカに検閲を課すことができるなら、それは破壊行為以上のものだ。今我々が巻き込まれた戦争の新たな形態であり、我々は力強く対応する必要がある」と述べ、大統領の理解不足を批判した。マルコ・ルビオ上院議員も、北朝鮮は政府ではなく、犯罪シンジケートだと主張した(ブルームバーグ)。

 マイク・ロジャース下院議員は、「必ずしも戦争行為とは言えない」と言葉を濁しつつ、サイバー攻撃に対する明確な指針がないことを指摘。しかし、「アロハと言って飛行機に飛び乗ることは、アメリカのみならず世界が求める答えではない」と、休暇のためハワイへ向かったオバマ大統領を語気を荒げて批判し、大声で北に呼びかけるだけではなく、制裁強化の必要性を説いた(ブルームバーグ)。

◆親会社ソニーも困惑?
 サイバー攻撃の原因は、金正恩第一書記暗殺をテーマにしたソニー・ピクチャーズのコメディ映画「The Interview」だとされており、上映を予定していた映画館にハッカー・グループからの脅迫などが続出したため、同社は上映中止を発表した。

 オバマ大統領は、この苦境に同情するとは言いつつも、「他国の独裁者がサイバー空間を利用し企業の流通網やその製品を阻害することにおいて前例を作れば、結果我々自身が検閲を始めることになる」と述べ、ソニー・ピクチャーズは作品を公開すべきだったと述べた(ガーディアン)。

 ソニー・ピクチャーズ側は、当初上映の予定はないと発表していたが、マイケル・リントンCEOは一転して姿勢を変え、YouTubeも含め、現在配給方法を検討していると語った。ロサンゼルス・タイムズは、映画業界アナリストの言葉を引用。頭痛のタネを取り除くため、親会社のソニーが、ソニー・ピクチャーズの売却も検討していると報じた (ガーディアン)。

Text by NewSphere 編集部