朴大統領の円安批判は的外れ “韓国の輸出不振、円安とは別問題”海外報道
韓国の朴槿恵大統領は、オーストラリアで開かれたG20首脳会議で、日本の円安政策を批判した。
朴大統領は、日本を名指しこそしなかったものも「主要先進国の通貨が一方に偏る現象は一部の新興国経済に負担として作用する可能性がある」と述べ、先進国は自国の状況だけを考慮した経済および通貨政策をすべきでないとの主張を発表した。
◆円安と韓国の輸出不振
朝鮮日報によると、大統領専用機内で異例の記者懇談会を開いた朴大統領は、今回の発言について「このままではいけないと思い、決意して話した。世界の経済は一つにつながっており、一方の政策がすぐに他方にも影響を与えることになる。そういう趣旨で話した」と述べたという。
一方、朴槿恵大統領の発言以前の報道だが、韓国の輸出不振について、海外各メディアは「円安のせいではない」との見解を示している。
CNBCによると、英キャピタル・エコノミクスのギャレス・レザー氏は「たしかに日韓の輸出主力商品の類似性を鑑みれば、円安が韓国の輸出業に打撃を与えるように見えるかもしれない。しかしだからといって、韓国の輸出業不振を円安のせいにするのは誤りである」と述べる。
なぜなら、「もしも韓国の輸出業不振が円安のせいであるならば、韓国の輸出業は他のアジアのどの国よりも不振であるはずだ。しかし実際は、円安以降、韓国よりも他のアジア国の方が輸出業は低迷している。さらに、日本の輸出業は、円安の優位性をさほど武器に使っていない。多くの商品はドル建ての価格をつけており、価格の安定を図っている。結局のところ、韓国の輸出不振は世界的な需要の低迷が原因で、円安のせいではない」とレザー氏は言う。
◆商品価値の問題
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「円安が韓国の自動車メーカーに打撃」と題した記事を伝えている。日銀が緩和策を発表以降、ヒュンダイとキアの両自動車メーカーはそれぞれ5.9%と5.6%株価を下げた。
しかしアナリストのキム・ピュンモー氏は「ヒュンダイのアメリカでの低迷は商品クオリティの問題」と語っている。またDBS銀行も「長い目で見れば、貿易の優位性は生産性や技術力、商品の魅力といった基礎的要素が決める。為替変動の影響は、中期的にはあるものの、決して過大に考えてはいけない」との見解を表しているという。
かつ円安は結局、材料となる資材の調達コストを上げることになる。韓国の製鉄会社ポスコは「よって最終的には、日本が有利になったわけではない」と見ているようだ。
◆円安を逆手にとれ
ロイターによると、ゴールドマン・サックスは今後「ウォンは円に対し上がり、ドルに対し下がる」と予測している。これは、日本との競争が激しい自動車および自動車部品、鉄鋼、化学品など韓国輸出業の3分の1を占める業態にとっては、必ずしも悪くない組み合わせだという。
韓国政府は各企業に対し、この苦境を耐え抜き、かつ円安を活かして日本への投資から利益を得て、ビジネス構造を改善させるいい機会とするよう促しているという。
なお、朴槿恵大統領のG20の発言については、韓国メディアが一斉に取り上げた一方で、欧米主要メディアは反応を示さなかった。
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