韓国歌手の日本入国拒否問題 “屈辱の外交”“理由明らかに” 韓国メディア加熱

 韓国の人気歌手、イ・スンチョル氏は先日9日、日本への入国を拒否され、羽田空港で4時間にわたり夫人と共に拘束され、その後韓国へ帰国した。この事態をめぐり、韓国ではメディアを中心に大きな騒ぎになっている。

◆入国拒否の理由
 イ・スンチョル氏は8月に竹島でコンサートを行っており、そこで脱北者と共に南北統一の願いを込めた歌を歌った。その中には「竹島は私たちの島。竹島は北と南を結ぶ島」との歌詞が含まれていた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「この歌詞がその理由だ」とイ・スンチョル氏が話している、と伝えている。朝鮮日報でも過去15回来日している歌手の入国を、明確な理由もなく拒否した日本政府の姿勢を激しく非難、「正確な理由を明らかにすべき」としている。

 また、2012年8月には韓国の俳優、ソン・イルグク氏が竹島への遊泳プロジェクトに参加した。日本の山口外務副大臣がこれについて「ソン・イルグク氏の日本への入国は困難になるだろう」と発言したことがあるという事実も、海外メディアは合わせて報道し、日韓両国の竹島を巡る争いが続いていることを示唆している。

 日本政府は入国拒否の理由について公式には説明していない。菅義偉官房長官は12日の記者会見で、「法律上の上陸拒否事由に該当した。個人情報で詳細は控えるが、竹島で歌を歌って発表したこととは関係ない」と述べている。イ・スンチョル氏に大麻の吸引歴があることがその理由だとの報道もある。
 
◆「屈辱の外交」
 韓国中央日報はこれら一連の出来事について、与党セヌリ党の金(キム)最高委員の「イ・スンチョル氏が日本で拘束されて帰ってきたことに関して、本当に理解できない。日本の行動に怒りを感じている」との意見を報道している。

 また、同委員は引き続き「最近、韓国政府の独島(ドクト、日本名・竹島)人道支援センター建設の取り消しについても強力に非難したが、その後わずか1週間に、静かな外交の成果は屈辱の外交に帰結した」と批判したことも同時に報道されている。

◆日本人の韓国入国拒否
 では、日本人の韓国入国拒否は過去に存在したのか。2011年8月1日、新藤義孝衆議院議員、稲田朋美衆議院議員、佐藤正久参議院議員は韓国の鬱陵島へ向かおうとして、金浦空港で韓国当局入国拒否処分となった。「処分は納得出来ない」として9時間空港に居座ったが、退去強制を受け結局帰国した経緯がある。

 また、2013年には、韓国出身の評論家で、韓国に対し批判的な言論活動を行っている拓殖大学教授の呉善花さんが韓国への入国を拒否されている。韓国当局はその理由を明らかにしていない。

Text by NewSphere 編集部