中国元高官、6億円収賄認める ネット告発から裁判まで…異例の展開に海外も注目

 「汚職撲滅キャンペーン」が行われる中国で、国家発展改革委員会(NDRC)の元副主任、劉鉄男氏が、複数の企業から多額の賄賂を受け取ったことを認めた。閣僚級とされた元官僚の汚職を、海外紙が報じている。

【権力に集まった金】
 劉氏の公判は、24日、河北省廊坊市の中級人民法院で行われた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、マイクロブログ『微博』の河北省の公式アカウントを通じてそのハイライトが掲載され、国営放送でも公判の様子が報じられた。

 劉氏は、経済政策を取決め、主要な投資を認可する権限を持つNDRCに30年間在籍し、最も権力を持つ党高官の一人であった。起訴状によれば、同氏は事業認可の際に、主に息子を仲介として、10年間に3558万元(約6億3000万円)の賄賂を大企業から受けとっていた(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。

 賄賂を渡した企業の中には、トヨタ自動車と広州汽車の合弁会社「広汽トヨタ」も含まれている。検察によれば、劉氏が便宜を図った見返りに息子が同社に職を得て、出社することなしに給与を得ていた。また、同社の販売店開設を助けたことで、息子に1000万元が渡ったという。この件については、広州汽車、トヨタともに、コメントを控えている(ブルームバーグ)

【罪を認め刑を軽く】
 劉氏は法廷で罪を認め、涙を流したという。そして、官僚の力を減らすことが、汚職を減らす鍵だと証言し「私の経験から言えば、重要なのは多大な決定権を市場に与えることだ」と述べた(ロイター)。

 劉氏が罪を認めたことを「とても賢い自己防衛」だったと述べた香港科技大学の社会科学教授、丁学良氏は、劉氏を誘いに乗った被害者ではなく、「中国官僚制における最も権力を持った既得権益者の一人」と捉えるべきだと指摘している(ロイター)。

 検察は劉氏が「積極的に捜査に協力し、罪を認め、後悔する態度だった」と述べており、有罪は確実だが、寛大な判決が下るだろうとロイターは見ている。

【それでも告発には強硬路線】
 劉氏の不正が明るみになったのは、雑誌『財経』の副編集長が2012年12月に『微博』で、劉氏とその息子に関する疑惑を投稿したことに端を発する。これがもとで、劉氏はNDRCの地位をはく奪され、共産党の懲戒組織の公式な調査対象とされた(ブルームバーグ)。

 しかし、それ以来、『微博』を通じて告発や破壊活動的意見を表す者には、党は強硬路線を取っている。2013年8月には『微博』で何百万人ものフォロワーを持つベンチャー・キャピタリストが、敏感な話題について語ったことで、半年以上に渡り当局に拘束されるという事件も起きている(ブルームバーグ)。

 中国新華社によれば、政府は国内ジャーナリストが雇用者の許可を得ずに記事を書くこと、また担当以外の分野での記事を書くことを6月に禁止した。規制はジャーナリストが自身のウェブサイトを作ったり、広報会社を始めるのを防ぐものだという(ブルームバーグ)。

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Text by NewSphere 編集部