中国、ドイツ引き合いにまた日本批判 メルケル独首相はスルー 盧溝橋事件77周年記念日に
中国の習近平国家主席は7日、盧溝橋事件の77周年式典に出席し、日本の戦時中侵略を軽視する動きを批判する演説を行った。
【反日報道に同調する韓国メディア】
盧溝橋事件とは、1937年北京南西部の盧溝橋近くで起きた日本軍と中国軍の衝突で、日中戦争のきっかけとなったとされている。式典は、従軍兵士や学生、各界関係者などの出席者が集まる日戦争記念館で行われた。習主席は、「歴史は歴史、事実は事実。誰も変えることはできない」と語り「侵略の歴史を否定するのみならず美化し、地域の緊張を高めるようないかなる者も、中国人を含む全世界の平和を愛する人々の非難を受けることとなる」と訴えた。
韓国の朝鮮日報はこのことについて、「習主席は日本帝国主義の侵略者を”日寇”と呼び、集団的自衛権の行使を最近決めた日本の右傾化を強く批判した」と報じている。日寇とは「中国で日本人を蔑視して使われる用語」であると同紙は伝えている。
【不規則な節目の年の背景は】
ニューヨーク・タイムズ紙によると、胡錦濤前主席も2005年の終戦60周年式典や2010年の65周年式典などに出席しているという。しかし今回は、5周年や10周年毎といった節目の記念日ではない。
その背景として、事件の起きた7月7日という日付から、中国で盧溝橋事件が「七七事変」という名称で知られていることにあるという。『The Beijing News』は「77周年という年に、この事実に目を向けることはとりわけ価値がある」と伝えている。
このような不規則な年にこの事件への注目が集まるよう仕向けたのは、現在緊張が高まる日中関係と深く関わっていると同メディアは述べている。「今、歴史に目を向けることの意味は、中国人に警戒を怠らないよう促すことと、同時に国際社会へ警鐘を鳴らすことだ」と、上海師範大学の専門家は語っているという。
【ドイツを引き合いに出す試み】
この式典と時を同じくして、ドイツのメルケル首相が訪中している。李克強首相との会談後の共同会見についてウォール・ストリート・ジャーナル紙(ウォール紙)は「中国がメルケル首相の訪中を日本の戦中過去批判に利用」したと報じている。
新華社通信によると、会見で李首相は盧溝橋事件77周年式典について言及し、「歴史を胸に刻むことで初めて、未来は開かれ、平和は保たれる」と発言したという。ウォール紙はこのことについて「日独両国の過去に対する姿勢の違いを強調したいという中国側の思惑」と指摘するが、メルケル首相はこの発言に対し何もコメントしなかったという。
中国が日本の戦中批判に欧州大国のパートナーを引き合いに出す試みは7日の李首相の発言が初ではない、とウォール紙は伝える。3月には習主席のベルリン訪問に際し、ホロコースト記念施設の訪問を打診した。しかしこの申し入れはドイツ側に断られている。2012年には温家宝前首相がポーランドでアウシュビッツ強制収容所跡地を、やはり「歴史を胸に刻む」目的で視察している。