中国軍、頭良ければ“ぽっちゃり”でもOKに サイバー戦を重要視か? 海外紙注目
中国の人民解放軍が、今年の8月1日から始まる新兵の募集条件に新基準を導入した。
【低身長低視力OK】
現在人民解放軍は、230万人の人材を抱える大所帯だ。これまでは背が高く鍛え上げられた軍人が求められていたが、そうした傾向に変化が見られ、身体条件への規制が緩和されている。
中国国営の英字新聞『チャイナ・デイリー』によると、新たな基準では志願兵の最低身長が男性は160cm、女性は158cmと従来より各2cm低くなったという。加えて視力への規制も緩和された。また刺青はもってのほかだったのが「トータル10cm以下で、かつ軍服を来ているときに見える部分が2cm以下までのものなら可」となったという。さらに一部の精神障害への規制も初めて撤廃され、それまでは不可だった統合失調症や解離性障害などが不問となったという。
身体条件の新基準は、経済的繁栄により中国人の体型が変化していることがひとつの要因であるという。ここ20年で軍人の身長は平均2cm伸び、腰回りは5cm増えたとチャイナ・デイリーは報じている。つまり昔の基準で設計された戦車は今の軍人には狭く、軍服も小さくなっているのだという。
【目的は軍人の高学歴化】
しかしこれら新基準の導入にはもっと重要な目的がある。それは「高度な教育を受けた人材の確保」だ。
これからの軍人は「高度な武器や設備を操れる頭脳が要求される」とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。エリートを取り入れるためなら「たとえ”ずんぐり”でも歓迎」ということだ、とニューヨーク・タイムズは伝えている。
身体的基準値が緩和されたことに対し、逆に学歴の条件は厳しくなった。北京、上海、天津、重慶など大学の多い都市部では、最低でも高卒以上が志願条件になり、当局によると順次その他の地域でも高卒以下の数を減らしていく予定だという。視力への規制が緩和されたのも、高校生大学生の70%が近視のためとチャイナ・デイリーは伝えている。
また高学歴な人材を惹き付けるための要素も用意している。今後軍は、厳しい訓練を強化するよりもジュークボックスなどの娯楽設備に今までの倍予算をかける予定、とウォール・ストリート・ジャーナル紙(ウォール紙)は報じている。
【予想通りの展開と米紙】
こうした「より頭のいい人材確保を強化する傾向」は、現在中国が軍の近代化を行っていることを考えればまったく不思議ではない、とウォール紙は述べている。
実際、人民解放軍にはコンピューターに特化する人材も増えた。米政府は先月人民解放軍人の5人をサイバー攻撃の罪で訴追したばかりで、中国軍の近代化には特に注意を払っている、と同紙は指摘している。
チャイナ・デイリーによると、人民解放軍の新兵募集担当局も「コンピューターに詳しい人材の確保は戦場での効率を高めるためにも重要」と語っているという。
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