中国が恐れる“日本の5つの兵器”、究極は米軍…米専門誌が分析
東シナ海上空の公海上で11日、中国軍の戦闘機が自衛隊機に異常接近した件で、中国側が日本の抗議に対する反論を強めている。中国国防省は、接近してきたのは逆に日本機であると主張し、航空自衛隊のF-15戦闘機が中国軍機に接近飛行しているとする映像をウェブサイトに掲載した。
ロイターなどの海外メディアも、日中両国の「非難の応酬」を報じている。また、米外交専門誌『ナショナル・インタレスト』は、日中の軍事衝突を想定し、自衛隊が保有する航空機や艦船の戦力分析記事を掲載している。
【“中国機に接近するF-15”の映像を公開】
ロイターによると、中国国防省は、13日に日本大使館の武官(防衛駐在官)を呼んで抗議したほか、「日本側は現実を無視し、真実をすり替え、根拠のない批判を作り上げた」などとする声明を発表した。
日本政府は、中国軍のSu-27戦闘機が航空自衛隊の偵察機に背後から接近してきたと主張している。これに対し中国側は、航空自衛隊のF-15戦闘機2機が、中国軍の旅客機型軍用機Tu-154を追跡し、約30メートルまで接近してきたと反論。国防省のウェブサイトにその際のものだとするF-15が飛行する様子を捉えたおよそ1分半の映像を公開した。
日本政府はこうした中国側の主張に対し、「事実無根」「筋違い」などと一蹴している。
【米サイトは尖閣諸島が日本領であることを示す「証拠」に言及】
米ニュースサイト『ガーディアン・リバティボイス』は、この件を報じる記事の中で、背景にある尖閣諸島の領有権問題について、次のように論じている。
「第2次世界大戦が1952のサンフランシスコ講和条約の発動で公式に終わった際、尖閣諸島はアメリカの支配下に置かれた。その際には、中国も台湾も領有権を主張しなかった。それが変わったのは、(日本領に復帰後の)1970年に石油が埋蔵されていることが明らかになってからだ」
また、同紙は、2010年のワシントン・タイムズのスクープ記事にも言及している。それによれば、島の名称を日本名の「尖閣」と表記した1969年発行の中国製の地図が存在し、そこには尖閣諸島が明確に日本領だということを示す国境線も描かれているという。記事は、この地図について「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は古来よりずっと中国領だったとする中国側の主張への反論となる」としている。
【日本の究極兵器は「米軍」?】
ナショナル・インタレスト誌は、今回のような小競り合いが日中の全面的な軍事衝突に発展する可能性に言及しつつ、『中国が恐れるべき日本の5つの兵器』という特集記事を掲載した。
「中国が恐れる兵器」として取り上げられているのは、そうりゅう型潜水艦、F-15J戦闘機、あたご型護衛艦、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦、そして「米軍」だ。
今回、中国側がやり玉に挙げているF-15Jについては、「30年以上前の機体だが、改良を重ねて全ての中国機に対して対等以上の力を持っている」と評価。特に新型のAAM-4Bレーダー誘導ミサイル(99式空対空誘導弾B)は、中国側が持っていない誘導技術によって射程距離とロックオン能力が飛躍的に向上しており、「中国機に対する大きなアドバンテージになっている」としている。
「そうりゅう型潜水艦」は、通常型潜水艦としては、世界一レベルの性能を誇るとし、「伝統的に対潜攻撃能力が弱い」中国にとって大きな脅威になると評価。強力な対空防衛能力を持つ「あたご型護衛艦」は、尖閣有事の際には防空の要になるとしている。また、「いずも型ヘリコプター搭載護衛艦」については、尖閣奪還作戦の際に兵員輸送能力を発揮したり、改造を施せば自衛隊が導入予定のF-35戦闘爆撃機を搭載して空母として運用することもできるとしている。
そして、日米同盟により米軍が参戦すれば圧倒的な核攻撃能力を含め「全軍が日本側につくことになる」と論じ、米軍をいわば日本の究極兵器扱いしている。