韓国、中国への配慮か…日米韓ミサイル防衛協力に“乗り気薄” 現地紙は独自路線強調
先週、アメリカの2015年国防権限法が下院を通過した。その年の国防方針や予算の大枠を決めるものであり、今回は北朝鮮ミサイルの脅威に対応して、日米韓3国でのミサイル防衛協力強化を提唱している。
本件については31日、シンガポールでの安全保障会議(シャングリラ対話)で日米韓が協議するという。また、軍責任者は法案の発効後180日以内に議会に報告書を提出せねばならないと定められているため、アメリカは進捗を急ぎそうである。
【予算が乏しいからむしろ効率強化】
アメリカとしてはミサイル探知情報の共有を目指すほか、韓国への終末高高度防衛システム(THAAD)の配備を念頭に、韓国内での立地検討に当たっているという。ただしウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、1基9.5億ドルのTHAADは7基調達の計画に対し、まだ3基しか用意できていない。1基はすでにグアムにあり、残りを韓国に配備するか、イランを見据えて中東に送るか、予備として手元に控置するかは、米国内でも意見が分かれているという。
同紙は、国防予算の削減圧力を受けているからこそ、アメリカはアジアでのミサイル防衛における日韓との協力を強化したがっていると解説する。またジェームズ・ウィニフェルド統合参謀本部副議長は28日の演説で、弾頭とデコイ(囮)の識別能力が向上した新型レーダーや無人偵察機上の発射検知センサーなど、技術改良投資を呼びかける予定だ。探知・迎撃の精度が向上すれば、「自らのミサイルを少ししか使わなくて済む」ことにもつながる。
なお日本については、すでに先月オバマ米大統領の訪日時、ライス国家安全保障顧問が安倍首相に計画を持ちかけていると報じられている。
【そうは問屋が卸さない韓国】
しかし韓国は、こうした協力強化には乗り気薄のようだ。韓国は2012年に日本とミサイル防衛協力を結ぶかにも見えたが、結局実現していない。韓国は日本と感情的な軋轢がある上、中国を刺激する恐れもある。さらに韓国アリランテレビによれば、既に全国にハイテクレーダーシステムを設置している韓国は、3国の中で一番うまみが少ないと考えられているという。
コリアタイムス(韓国日報)も、韓国国防部が「米国主導のミサイル防衛システムに参加しないとの我々の立場にこだわっています」と言明したことを報じている。韓国は韓国航空ミサイル防衛(KAMD)システムと呼ばれる、独自の計画を進めているのだ。
これに対し米国は、韓国にも協力のメリットがあることを説こうとしていると、ウォール紙は述べている。当初は米国製の防衛システムを配備しておき、のち適宜韓国製に切り替えることも可能だとする方向性も考えられているという。
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