日中韓、大気汚染対策で共同声明 PM2.5問題で利害一致、しかし微妙なズレも
日中韓の環境相による第16回会合が、28,29日に韓国のテグで行われた。国家間にとどまらず、3ヶ国の企業や研究機関、地方自治体レベルでの協力を強化し、環境対策における技術や政策を共有することを確認。これらを盛り込んだ共同声明を採択した。
会合には、日本の石原環境大臣、韓国の尹成奎(ユン・ソンギュ)環境相、中国の李幹傑次官が出席した。今回の会合では、PM2.5による大気汚染問題を中心に、水質汚染、海洋汚染、気候変動、生物多様性の損失などへの対応策を話し合った。
【中国が環境対策に本腰?】
中国の李次官は、中国が環境問題において厳しい状況に直面しているという認識を示した。そのうえで、大気汚染の改善は、長い時間を必要とする大変な取り組みだということも理解しているとし、環境問題に対して、今後、中国が日本や韓国と協力していくことを強調した。
さらに次官は、中国が環境保護法を25年ぶりに改正し、中央政府だけでなく、地方政府も環境問題に対して責任を担うよう、大がかりな改革を行ったことを発表した。中国国営新華社通信によると、次官は、「(法を改正しても)きちんと継続的に実行しなければ、意味をなさない」という厳しいコメントも発表した。
【3ヶ国の思惑が一致】
海外メディアによると、韓国の尹環境相は、北東アジア地域での大気汚染は深刻で、汚染物質の削減が急務だと訴えた。そのうえで、PM2.5を含んだ微粒子による越境大気汚染に対する韓国の政策を紹介し、3ヶ国が足並みをそろえて協力するよう促したという。
日本にも、中国大陸からのPM2.5や黄砂などが飛来し問題になっている。このため、隣国からの汚染物質に悩む日韓と、国内の大気汚染を無視できない状況に陥っている中国の思惑が一致し、対策強化を盛り込んだ共同声明の採択となったようだ。
【中国系メディアの反応】
3ヶ国会合とは別に、2ヶ国間会談も行われたが、日中会談は中国側の都合により実現しなかった。これについて、日本のメディアは、日中間の政治的問題が影を落としていると報じる。一方、中国国営新華社通信は、中韓代表の会談が行われた事実だけを記載するにとどまり、日本が環境問題に対する最新の政策や対策、装置を紹介したことを報じた。
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