韓国、北の無人機飛来に半年気付かず? 後手後手の対応を中国メディアが心配

 韓国は6日、北朝鮮から飛来してきたと思われる無人機が見つかったと明らかにした。無人機は軍事境界線から南130km、ソウルから東290kmにある三陟(サンチョク)市の山腹で回収された。

 無人機は昨年10月に地元住民が見つけたが、坡州での無人機墜落の報道を受け、今月3日に通報。発見者は、装着されていたカメラを捨て、メモリーカードは記録を消去して自分用に使っていたという。

【おもちゃのようだが、レーダーを回避】
 発見された無人機は、坡州で発見された無人機と同様の、三角形にスカイブルーで目立たないよう塗装がされていたと国防部は説明。バッテリーの一つに、北朝鮮で使用されている方言が刻み込まれており、無人機が北朝鮮のものであるという見方がさらに強まった形だ。

 韓国国防省によると、回収された無人機は全長約183cmで、外見はおもちゃのように見える。しかし、特殊素材ポリカーボネートで作られており、低空を飛ぶことで、レーダー探知が非常に困難になるという。ポリカーボネートは、アクリルの40倍、強化ガラスの150倍以上の強度と、熱や寒さにも強いエンジニアリングプラスチックの一種。

 キム・グァンジン国防相は、北の無人機開発は90年代から始められており、今後は写真撮影などのスパイ活動だけでなく、爆弾が搭載できる爆撃機が開発される可能性もあると国会で述べている。聯合ニュースによると、国防部は7日に、金寛鎮(キム・グァンジン)長官主管の全軍主要指揮官会議を開き、北の無人機に対抗する手段を議論する予定。

 韓国紙は、レーダーで捉えることができない無人機に対し、より高度なレーダーシステムを導入するよう声をあげている。韓国はアメリカから、人工衛星級の性能を持つ「グローバルホーク」を8.17億ドルで購入する予定。過去最高の約4兆円もの財政赤字であえぐ韓国にとっては、F-35ステルス機に並ぶ巨額支出となる。

【北朝鮮は関与を否定】
 北朝鮮は無人機とのつながりを一切否定している。国営朝鮮中央通信(KCNA)によると、国防科学院報道官は7日、無人機について「注意を別にそらすためのばかげた策動だ」と関与を否定した。

 朝日新聞は、北朝鮮は無人機を飛ばしたことを認めれば、「領空侵犯」を表明したことにつながるため、関与を否定したとみている。

【中国メディア、韓国は「素人集団」だと心配?】
 中国南寧日報は、韓国の青瓦台(大統領官邸)上空を、無人機が“軽く”突破した事態を報じている。無人機で撮影された青瓦台の写真が鮮明に写っていることから、大統領官邸のミン・ギョンウク報道官は、「敵国の軍事行動に悪用されるためネット上の写真を削除してほしい」と話し、《国家安保目標施設管理方針》に違反するので絶対に写真をネット上で拡散しないよう求めたという。

 さらに同紙は、無人機の初動捜査で60以上もの指紋が残されており、そのうち50以上は捜査当局や軍当局のものだと伝えている。手袋さえしていないことに本当に“プロ”なのかと疑問を呈している。また、汗や髪などDNA鑑定で必要となる手がかりも採取していないことをあげている。

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Text by NewSphere 編集部