“楽天は象牙・鯨商品の取り扱い世界一” 英環境団体が批判 一部有力メディアも同調

 イギリスのNGO環境捜査局(Environmental Investigation Agency、EIA)が動物福祉団体ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International、HSI)と共にまとめた報告書「BLOOD e-COMMERCE」(血に染まったe-コマース)の中で、日本のインターネット通販大手、楽天が世界で最も多く象牙や鯨肉製品の売買を行っていると指摘。早急に広告を取り下げ、製品の取り扱いを中止するように呼びかけている。

 左派とも言われる英ガーディアン紙を中心に海外で楽天に対する批判的な報道がされる中、中道的なインディペンデント紙やロイター通信などにも広がりをみせ始めている。

【批判が集まる日本の流通規制の緩さ】
 EIAの報告書によると、楽天のサイトには象牙製品に関する広告が2万8000件以上、鯨肉製品は1200件以上あったという。

 中でも、象牙製品の95%以上が印鑑であり、そのほとんどがアフリカからの密輸入だと指摘している。アフリカで2005~10年の間に殺害された象の象牙から得られた売上のうち、80%以上が日本の印鑑として使用されているとインディペンデント紙などは報じている。

 また、ロイター通信では、日本のインターネット通販と国内における規制の緩さがこうした密輸入を支えていると分析している。現在の規制では、象牙を丸ごと1本輸入する場合のみ業者に登録を義務付けており、卸、製造、小売など広範囲に及ぶ業者に対する規制が欠如しているとした。

 また、鯨肉製品に関しても、EIAは日本の法律が定める食品品質表示では品種の記載が義務付けられているにも関わらず、多くの製品は品種を記載していないどころか、中にはイルカ肉を使用しているケースもあると指摘している。

 また、EIAが昨年注文した鯨肉製品9点のうち、8点から日本政府が定める基準0.4ppm(水銀換算)を超える濃度の水銀が観測されたことにガーディアン紙は注目している。基準の20倍を超えるものもあり、平均でも約10倍であったという。

【「楽天は象や鯨に銃口を向けているのと同じ」】
 日本でネット通販を行う大手のアマゾンやグーグルはこういった製品の売買や広告の取り扱いをやめており、イトーヨーカドーや西友などの大手スーパーも多くの店舗で鯨やイルカの肉の販売を中止しているとガーディアン紙は報じている。

 また、同紙は、いくら楽天が環境保護ポリシーを掲げているとしても実際には絶滅危惧種の販売を通じて収益を上げているのだから、所詮それはキレイ事であり、象や鯨に銃口を向けているのと同じだとするEIAの批判を多く取り上げ、EIAに同調する報道を行っている。

 楽天は近年、米Rakuten Shoppingや英Play.com、仏PriceMinisterなど海外各国で通販サイトを拡大している。EIAは楽天の海外拠点に対して本社に方針を変更するよう訴えるべきだとし、このままでは今後の世界的なブランドイメージも危ういとしている。

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Text by NewSphere 編集部