世界のATM、大半がXPベース サポート終了迫るも、3分の1しかアップグレードされない可能性
マイクロソフトは、OS「Windows XP」のサポートを4月9日(日本時間)で終了する。2001年の発売後、7年半のメインストリームサポートと5年間の延長サポート期間が満了する。
【発展途上国でリスク拡大】
サポート終了後は更新プログラムなどが提供されなくなり、セキュリティリスクが高くなる。しかし、いまだ世界で広くATMや医療機器、産業用制御システムなどに同OSが搭載されているのが現状だ。企業は費用を要するシステム更新を先送りにしてきた。
発展途上国を中心にコンピューターの数が増加していることから、Windows95や98のサポート終了時より、リスクは大きくなるだろうと専門家は見ている(フィナンシャル・タイムズ紙)。市場調査機関ネットマーケットシェアのデータによると、約40%がまだXPを使っている。
特にWindows海賊版が普及している発展途上国では、マルウェア(悪意のあるソフトウェア)が増加するだろうと、マイクロソフトの担当者は述べているという(フィナンシャル・タイムズ紙)。
【XP搭載ATMの3分の1しかアップグレードしない】
世界的なATM大手NCRによると、世界のATM220万台のうち、95%以上がWindows XPで動作しているという。また、サービス停止前に、そのうち3分の1しかアップグレードされないと予想している。
イギリスの大手銀行5行(ロイズ・バンキング・グループ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、HSBC、バークレイズ、サンタンデールUK)は、サービス継続のため、交渉中か既に購入済みだ、とITレビューサイト『Digital Trends』は報じた。
また、サポート終了までにXPからの移行を完了しない民間・公共機関は多いという。
【アメリカのATMへの懸念も】
イスラエルのハアレツ紙は、アメリカのATMのリスクも指摘。世界のATMの5分の1に当たる約44万台がアメリカに設置されており、多くの銀行はサービス停止後もしばらくはXPのATMを運用するという。同紙は、金融危機後、金融機関がセキュリティ対策のアップグレードを怠ったという専門家の見解を報じている。
JPモルガンは、7月にWindows 7への移行を始め、年末までに完了する予定。バンク•オブ•アメリカはサポートを延長する方針で、シティグループはアップグレードの途中だという。