オバマ大統領、コメディアンの才能も一流? 初のネットコメディ出演で1500万回再生

 米オバマ大統領は、医療保険制度改革「オバマケア」宣伝のため、コメディアン俳優ウィル・フェレルが手掛けるオンライン・コメディサイト「Funny or Die」の中の『Between Two Ferns』に出演した。大統領としては前代未聞で、メディアへの過剰露出か革新的な宣伝法か、海外で物議を醸している。

【「オバマケア」を若い世代に宣伝】
 米医療保険制度改革「オバマケア」を若い世代に宣伝する目的で大統領自ら出演した。ホワイトハウスは、正午までに同番組が300万回閲覧されたと発表した。また、日本時間14日時点では1,478万回閲覧されている。

 オバマ政権の目標としては、保険加入期限の終了する今月31日までに加入者数600万人を掲げている。当初の目標数700万人から変更した数字で、米社会保険福祉省によると昨年10月以来420万人が加入した。2月の加入者数は94万人で、1月より17%減少したことを政府が発表する数時間前に、番組が公開される運びとなった。

 USAトゥデイ紙によると、番組公開後「オバマケア」加入のためのサイトHealthcare.govへのアクセス数は、前日月曜日から40%以上増加した。ホワイトハウスのマクギネス顧問によると、火曜日正午の時点でHealthcare.govへのソース(情報源)第一位は『Funny or Die』、午後5時には同ソースから32,000アクセスが紹介された。夜には合計54,000アクセスが紹介され、同日のトップソースとなった。

【オバマ大統領コメディの腕前は】
 番組内で大統領は、映画『ハングオーバー』シリーズに出演しているザック・ガリフィナーキとのトークショーを披露した。msnトピックスによるとこのコーナーは、“無知”なザックがゲストにトンチンカンな質問やバカげた質問をし、横柄な態度で相手を怒らせるというパターンで進む。オバマ大統領は終始冷静に、表情を変えることもなく応対した。

 大統領が「オバマケア」を知っているか尋ねたのに対し、ザックは「うまくいっていないあれでしょ」と返した。大統領の国籍問題にからめて、大統領図書館を設立する場所はハワイかケニアかと聞くなど、答えにくい質問を浴びせた。ザックの「最後の黒人大統領としての思いは?」との質問に対し大統領が、「これが大統領と話す最後の機会になることに対しての思いは?」と返すなど、コメディのセンスが光る一面もあった。

 デイリーニューズ紙によると、ホワイトハウスのジェイ・カーニー報道官は、大統領側はある程度質問の内容を予想していたとほのめかしているという。同紙は、米大統領の任期が最高2期であることに触れたやり取りを例に挙げた。ザックが「3回出馬できないというのは残念だね」とコメントしたのに対し、「適当だと思うよ。『ハングオーバー3』のように、何事も3回目はうまくいかないものだよ」と、用意周到な返答をしている。

【各界の反応】
 米ネット新聞『ハフィントン・ポスト』によると、共和党は番組内で医療保険制度についての言及があったことに反発している。また保守派は、番組出演が不名誉であり問題の本質から注意をそらそうとしていると批判した。ハリウッドの民主党への傾倒を指摘し、権力に敬意を表するコメディに何の意味があったのかと疑問視する声も上がった、と報じている。

 保守派ブロガーJim Geraghy氏は、番組出演がメディアへの過剰露出だと批判する。「合衆国大統領は、国民文化における何でもありの幅広い役割ではないはず。4年契約の仕事だ」と主張した。一方で、「官僚がネット社会における未知の領域にまで踏み込めることを示した」という見方もある。

 デイリーニューズ紙では、大統領の品格が落ちたという意見に反論したカーニー報道官のコメントを報じている。「若い世代の関心を得るには新しいメディアを利用する必要がある」とし、番組出演が正しい選択であったことを主張した。また説明会でテレビレポーターに、「すべての人たちにあなたたちの放送が届く時代は終わった」と述べたという。

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Text by NewSphere 編集部