シリア“Facebookを使用した罪”で少女が石打ち刑に 政府によるねつ造説も…広がる憶測
激しい内戦の続くシリアで、痛ましい事件の報道があった。反政府側の、イスラム過激派の一派が支配する地域で、1人のシリア人少女が、Facebookを利用したために死刑にされたというのだ。それも、石打ち刑という残酷な刑罰によって。
【ニュースはどう広まったか】
事件は、まずアラビア語のニュースサイト“Al-Rai Al-Youm”によって報じられた。それを、イラン政府の息がかかった「ファーズ・ニュース・エージェンシー」が英語記事で引用し、そのあと、各国で報道されるようになった。
【Facebookをすることが、死刑に値する罪?】
ソーシャルニュースサイト「ガーディアン・リバティー・ボイス」の記事によると、少女の名はFatoum Al-Jassem、年齢は14歳か15歳とのことだ。
彼女はシリアのAl-Reqqaに住んでいた。この町は、2013年3月より、イスラム過激派「イラクおよびシリアのイスラム国」(ISIS)によって支配・統治されており、政府の力はここには及ばない。他紙の報道によると、反政府側の手に落ちた主要地方都市として、最初の場所である。
ISISは、彼女がFacebookを使っているのを発見し、イスラム法(シャリーア)の裁判にかけた。シリアにおいて、Facebookは禁じられていない。しかし、イスラム過激派たちは、Facebookをすることは、姦通することと同等であり、ゆえに処罰されなければならない、と主張する。記事はそのように伝える。
ニュースサイト「デイリー・ドット」が述べるとおり、イスラム教強硬論者の世界では、「ジナー」、すなわち結婚以外の関係における性的交渉には、「身の毛もよだつ、苦痛に満ちた」処罰が下される。土中に半ば埋め、動けないようにして、死ぬまで石を投げ続ける、石打ち刑である。Al-Reqqaの法廷は、Facebookを利用した彼女の行為は、このジナーに準じるものであると断定し、彼女に石打ち刑を下した。
【ISISによる支配】
「デイリー・ドット」によると、ISISは、2003年のイラク戦争時に結成された。イラク政府およびシリア政府に対して武力闘争を行っている。親アルカイダ系組織だったが、あまりにも冷酷無慈悲であるとして、のちにアルカイダからも絶縁された。アメリカのニュースサイト「ラテン・ポスト」の報道では、数千人の戦士からなり、シリア人以外にも、多くの外国人イスラム過激派がメンバーには含まれているという。現在、シリアの数ヶ所を支配している。また同組織は、頻繁に名前を変えている。
ISISの支配下にあるAl-Reqqaでは、女性は、男性の親類と一緒でなければ、家から出ることさえできず、男性の医者にかかることも許されていない、と記事は伝えている。
【政府によるねつ造説も】
なおこのニュース対してウェブ上では、ソースの不確かさなどから、事件全体がねつ造で、政府側による反ISISの宣伝工作なのではないか、と疑う声も存在する。