日本の核武装を恐れる? 中国、プルトニウム所持を批判
米国が日本に対し、プルトニウム約300kgの返還を求めていると、共同通信が1月末に報じた。
これに対し中国外務省の華春瑩副報道局長は17日、「日本国内に兵器転用可能な核物質が大量に存在することは、核不拡散に対するリスクだ」と、強い懸念を示した。日本は核不拡散条約(NPT)に加入した国家として国際的義務を厳密に守るべきと述べ、早期に返還するよう求めた。
なお文部科学省は、3月にオランダで開催される第3回核安全保障サミットで返還を公式に合意する見通しを示したという。
【これまでの経緯】
アメリカは1960年代に、茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で使う核燃料用のプルトリウム約300kgを日本に提供。日本が保有する兵器級の高濃度プルトニウムは、イギリス産も含むと331kgにのぼり、核兵器40~50発分に相当する。この他、日本はさらに約44tのプルトニウムを保有している。
オバマ政権は「核テロ阻止」の観点から、兵器転用可能な核物質の削減を提唱。2010年に開催された第1回核安全保障サミット以来、日本にプルトニウムの返還を求めてきた。
しかし日本側は「高速炉の研究に必要」として、これまで返還を見送ってきた経緯がある。
ただ、元読売新聞ワシントン特派員の高濱賛氏は、「テロ防止というのは建前で、日本から「核武装」という外交カードの可能性を奪っておきたいというのがアメリカの本音だ」と予測する(週プレNEWS)。それだけ慰安婦問題、靖国参拝、憲法改正など、安倍政権の「右傾化」に対する視線が厳しくなっているとみている。
【核保有国・中国は、日本の「再武装」を警戒】
東シナ海の領土問題や安倍首相の靖国参拝などで日中関係が悪化する中、新たな論争が起きたとロイターは報じた。また、核を保有する中国は、非核国・日本の「再武装」を警戒していると指摘した。
週プレNEWSは、「要は、中国がアジアにおける軍事的優位性を保っていくために、日本が軍事転用可能なプルトニウムを持っていることは非常に都合が悪い」という、日中関係に詳しいジャーナリストの近藤大介氏の見解を掲載した。