特攻隊遺書の遺産申請 韓国メディアは一斉批判 中国メディアは静観
太平洋戦争中、神風特攻隊の基地があった鹿児島県南九州市の知覧平和博物館が、特攻隊員の遺書や手紙333点を、2015年のユネスコ世界記憶遺産認定に向け申請した。
韓国政府は、世界遺産の趣旨に合わないとして反対を表明している。
【シンプルなTVニュース】
中国中央電視台は、申請の事実と特攻隊の説明だけを簡潔に報じている。特攻は1944年10月(※このときはフィリピンでの作戦なので知覧からの発進ではない)、日本が「いくつかの軍事的敗北を被った後に」始まり、4000人近い隊員が連合軍艦船少なくとも47隻を撃沈、約300隻を損傷させた、と説明されている。
韓国アリランテレビの報道も簡潔であるが、「過去の軍国主義について一層の論争をかき立てる」ことを懸念している。また「九州・山口の近代化産業遺産群」の遺産申請についても、韓国人の強制労働があったとして、尹炳世・韓国外相が(※ユネスコ事務局長に直接)反対を表明していることを報じている。
【歴史認識対立を強調する報道も】
朝鮮日報もこれらに近い内容であるが、太平洋戦争の負けが込んだ段階で日本は「若い兵士の狂信的なナショナリズムに訴えた」、という表現がある。同じく朝鮮日報の別の日本語記事は「日本の軍国主義の病的な極端さを示す事例」と説明し、特攻隊を描いた映画「永遠の0」が日本で「人気を呼んでいる」と言及した。
コリアタイムス(韓国日報)は「東京は帝国主義の過去と戦時侵略に関して一層騒ぎを起こそうとし、そうした右派の動きに対しソウルは敢然と立ちはだかっている」などと、日韓の対立拡大を強調した。伊藤博文を暗殺した安重根の記念館について、日本側が安重根は単なるテロリストだと非難し、韓国側と論争になった件にも触れている。また韓国女性家族部(省庁の一つ)が、従軍慰安婦こそ世界遺産リストに加えるべきだと皮肉ったことも報じた。
さらに韓国東亜日報の日本語記事は、読売新聞の渡辺(渡邉)恒雄会長が2006年、「神風特攻隊が『天皇陛下万歳』を叫んで喜んで突進したというのはすべて嘘だ。特攻隊は屠殺場に連れられてきた家畜にすぎなかった」とニューヨーク・タイムズ紙に語ったことも指摘した。またNHKの籾井勝人会長や百田尚樹・経営委員が、従軍慰安婦や南京大虐殺について日本側を擁護する発言をした件も重視している。