東日本大震災への寄付も…世界で広まる「1杯の寄付」とは

 イタリア語のフレーズ「Café pendiente」が、「自分の飲むコーヒーと同じ1杯分」の寄付として世界中に広がっている。日本でも同様の発想で、その「1杯」があるユニークな募金となり東日本大震災への寄付につながっている。

【そもそも「Café pendiente」とは?】
 もともとは「他の誰かのコーヒー代を先払いする」という厚意である。つまりカフェやバルでコーヒーを1杯注文した客が、計2杯分の料金を支払い、その際に「Café pendiente」と言い添えると、「もしお金の持ち合わせがないような誰かが来店しても、1杯ご馳走してあげて」という意味になる。

【海を越えてラテン系社会全体で流行】
 この粋な「1杯分ご馳走する寄付」は、5年前にイタリアのナポリで生まれ、地中海を渡ってスペインに広まった。一方では大西洋を渡ってアルゼンチンに伝わり、チリやペルー等南米社会に広く浸透。更にこのブームは中米にまで拡大し、例えばコスタリカの現地紙は、今年7月時点で国内20店舗以上の協賛店が現れたと伝えている。また南米各国のメディアによると、寄付の対象は元祖のコーヒーにとどまらず、国によって「オレンジ1kg」、「牛乳1瓶」、「パン1個」など、多様化しつつある。

【民族性も越えて、イギリス企業にも影響】
 今年4月、イギリスのスターバックスは寄付プロジェクト「Suspended coffee」を導入し、この「Café pendiente」の理念への共鳴を正式に発表した。

 同社によると、このシステムは、自分が1杯コーヒーを注文する際に2杯分の料金を払い、その時「Suspended coffee」と言い添えることで、1杯分の金額が慈善団体Oasisに寄付されるというもの。このOasisは全世界で10ヶ国の活動拠点を持ち、今回の寄付プロジェクトの趣旨は国内の貧困層への援助である。

【日本でも形を代えて被災地支援】
 国内でも、例えば広島を中心に店舗を構える「ラーメン我馬」は、2012年7月以降4回にわたり、「支援につながる1玉」をキャッチフレーズに「替玉募金」を実施している。期間中に注文された替玉の売上金額全額を東日本大震災への義援金にあてるというもので、当社の発表によれば、募金金額は1回あたり約50万円にのぼる。

 品物やスタイルが変わっても共通する「自分の飲食と同価格の寄付をセットで」という明快なコンセプトは、「自分も幸せで美味しい」新型寄付として更に注目を集めそうである。

Text by NewSphere 編集部