日本、温室効果ガス25%削減の秘策とは?

 日本が、アジアを中心に発展途上国の排出ガス削減で主導権を握ろうとしている。二国間オフセット・クレジット制度(JCM)で個別に各国と契約を交わし、テクノロジーやマーケティング、ファイナンスの面で積極的に協力する姿勢を見せている。

 これには、低排出ガスの技術普及、システムやサービス、インフラの整備も含まれている。この“環境面での能力強化”こそJCMのキーポイントとなるのだが、なぜ日本政府はこれほど発展途上国とのJCMを加速させているのだろうか。

【実績と日本の貢献】
 今年1月の、モンゴルのJCM入りを皮切りに、日本政府はバングラデシュ、エチオピア、ケニア、モルディブ、ベトナム、ラオス、インドネシアなどとの契約も交わしている。

 モンゴルでは、課題とされているボイラーで使用する石炭を、環境に優しい他のエネルギーに変えることを計画している。石炭の利用を減らすことによって気候変動を緩和させるだけでなく、経済の効率化や空気の浄化にも寄与するという。

【海外の分析】
 クリーン開発メカニズム(CDM)は、国連が定めたいくつものプロセスを踏まなければならず時間もかかるのだが、JCMはそのステップを省ける“利点”があり、JCMを促進する国にとっては都合が良いという見方もあるようだ。

 また、JCMの契約により、相手国が排出ガスを削減した分、その排出枠を獲得することができる。京都議定書で約束したように、日本は2030年までに1990年比で25%も排出ガスを削減しなければならない。

 さらに、原発の稼動が停止しているため、化石燃料の輸入が増え、排出ガスも増えてしまっている。各地方・各社で節電の取り組みが進められているものの、これでは「1990年比で25%削減」は難しい。この達成のため、JCMを加速させているのではないか、と海外メディアはみているようだ。

Text by NewSphere 編集部