韓国メディア「韓国人が盗んだ仏像は日本に返すべき」 意外な主張の真意とは?
安倍晋三首相、朴槿恵(パククネ)大統領双方の政権発足後、いまだ首脳会談が実現していない。
韓国の朴大統領は9月30日、来韓中のヘーゲル米国防長官と会談。日韓関係の改善を求めるヘーゲル長官に対し、朴大統領は「日本の指導者らが歴史や領土問題で逆行した発言をするため、信頼を築けない」と日本を批判した。
AP通信は、背景として竹島問題や慰安婦問題に言及したうえで、昨今の日本の国家主義的なイベントや発言のために、両国関係は悪化していると説明した。
ただ実際は、李明博(イ・ミョンバク)前大統領の天皇陛下への謝罪要求や、日韓請求権協定を無視した日本企業への賠償判決、与党議員による旭日旗使用を罰する法案の提出など、日本の立場からは受け入れられないような韓国側の動きも次々と生じている。
こうした問題の一つである、日本の仏像盗難問題について、韓国メディアはどう報じているのか。
【仏像問題の背景】
2012年10月、長崎県対馬市で盗まれた仏像が、韓国に運び込まれた。日本は返還を求めてきたが、2013年2月、韓国の大田地裁は返還を差し止める仮処分決定を下した。この仏像は、14世紀、韓国の浮石寺から対馬の観音寺に移されたものだと中央日報は説明。そのため地裁は、「日本側が正当に取得したことが訴訟で確定するまで」返還しない、という判断を下したという。
9月27日に広域市で開かれた韓日文化相の会談で、韓国の劉震竜(ユ・ジンリョン)文化体育観光部長官が、この仏像を日本に返還すると述べた、と日本のメディアが報じた。
ただし劉長官は28日、発言の真意が歪曲されたと釈明。「盗難・略奪による文化財は返還すべき」という国際規約を順守するという原則を確認したものだと説明した。
【韓国メディアはどう報じたか?】
報道を機に、韓国で文化財返還をめぐる議論が再燃している、と朝鮮日報は報じた。
韓国では、韓国所有だったものをなぜ返すのか、との反発が多いという。とはいえ、盗品として戻ってきてもいいという考え方は、「潔くも穏当でもない」と中央日報は懸念を示している。同紙は社説にて、「くやしいが」、国際条約にしたがえば、不法搬出された仏像は「日本に返すのが正しい」と論じた。
同時に、日本に奪われた6.6万点の文化財(韓国の国立文化財研究所による)を、「理性的で合法的な方式」で返還を求めていくべきと主張している。