米国シリア介入へ 法王の反対も押し切るのか?
ロシアのサンクトペテルブルクで5日、主要20ヶ国・地域(G20)首脳会議が開幕した。シリアに対する軍事行動をめぐり、支持を得ようと活動していた米国の独り歩きが浮き彫りになったと報じられている。
オバマ米大統領は、シリアのアサド政権が8月21日に化学兵器を使用したと断定し、G20で、アサド政権の化学兵器使用を阻止するための軍事攻撃を計画し、国際合意を具体化させたいと動いていた。
オバマ大統領は、日本の安倍首相や中国の習主席らと会談しているが、プーチン露大統領とは公式会談はない。米側近によると、非公式で話し合いが行われるだろうと述べている。
【米国のシリア軍事行動に 各国の反応は】
化学兵器の使用は非難しても、軍事行動には賛同していない声が多い、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。
欧州理事会トップは、「政治的解決だけが流血を終わらせることができる」とコメントし、「国連で手続きを踏まなければならない」と発言した。
ドイツは、「国際刑事裁判所(化学兵器使用に対して)を介して解決を図るよう」推し進めているとコメントした。
ロシアは、一貫して米国の発言(化学兵器使用)に疑いを持っており、米国が提出した証拠に、「決定的な証拠からは程遠い」と述べている。
中国は、軍事行動を起こせば、「石油価格が急上昇し、世界経済に悪影響を及ぼす」と懸念を表明した。
イタリアは、軍事行動がより広範囲的な衝突を引き起こしかねないと警告している。
日本の安倍首相は、「大統領の考えは十分理解している」とコメント。
また、ローマ法王は手紙で「軍事的解決は無駄な努力」だと訴えている。
西側諸国で唯一支持を明確に表明しているフランスは、化学兵器を使用する国家を糾弾することで認識を合わせることの重要さを強調した。
なおシリア政府は、「第三次世界大戦も辞さない」と強硬姿勢を示し、立場を変えることはないとAFP通信のインタビューに答えている。
【米国内の反応は、】
米国連大使は5日、ニューヨークで「世界機構が無気力」なために行動ができないと表明し、プーチン大統領を非難した。「安全保障理事会では実行可能な“道”がない」と語り、国際的な支援を得る「代替案」を計画していると告げている。
米国務省は同日、軍事的攻撃にフランス、カナダ、デンマーク、ポーランド、オーストラリア、トルコ、サウジアラビアなどが賛同したことを発表した。また、30ヶ国がアサド政権の化学兵器を使用したと結論付けたとも述べている。
なおホワイトハウスの側近は、オバマ大統領が、議会が否決してもシリア攻撃の可能性はあると発言したことに、「思いもよらないこと」だと語り、「今以上に孤立がさけられないであろう」と述べており、米国内でも支持が得られていないようだ。