「虎もハエも一掃する」 中国、汚職取り締まり強化
中国当局は3日、国務院付属国有資産監督管理委員会(国資委)の蒋洁敏委員長を解任したと発表した。当局は1日、同氏に対し、「重大な規律違反」の疑いで調査を始めたことを明らかにしていた。
習近平国家主席は昨年11月の共産党総書記就任以降、「虎もハエも一掃する」として、地位の高低を問わない汚職取り締まりを宣言していた。
蒋委員長は、習指導部発足後に調査対象となった党幹部で最高位となる。
海外各紙は、最近の中国当局による一連の政財界の汚職摘発に注目した。
【「石油閥」に焦点か】
蒋委員長は今年3月まで、中国国営石油最大手、中国石油天然ガス集団(CNPC)の会長を務めていた。
先週には、同じくCNPC前社長で、昨年まで政治局常務委員だった周永康氏に対する調査が始まっていると報じられている。現役及び退任後の政治局常務委員の調査は、70年代後半の文化大革命以降、初めてのケースだという。
CNPCと傘下のペトロチャイナの幹部4人も当局による調査を受け、「規律違反」で先週解任された。
サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(香港)は、当局はCNPCに調査の焦点を当てていると指摘した。
【石油業界への余波】
一方フィナンシャル・タイムズ紙は、CNPCやペトロチャイナとつながりのある、香港上場2社が影響を受けたと報じた。
当局は、ペトロチャイナを主要顧客に持つ民営エンジニアリング企業、恵生工程技術服務(ウィソン・エンジニアリング・サービシズ)の創業者で筆頭株主の華邦嵩氏に対しても調査を行っている。ニューヨーク・タイムズ紙は、この1週間で5人目となる企業家の調査だと報じた。
恵生工程は昨年、ペトロチャイナからの年間収入は、2011年までの3年で、総額の63%、80%、58%に達したと公開していた。しかし2日の声明では、今年上半期のペトロチャイナからの収入は「取るに足りない」と公表。また「当社は合法的に運営している」として、ペトロチャイナとの事業連携を守ろうとしている。
なお、ペトロチャイナ傘下の石油・ガス会社、昆侖能源(クンルン・エナジー)も株価が下落した。