フェイスブック、2万人以上の個人情報を各国政府に提供
交流サイト(SNS)大手の米フェイスブックは27日、各国政府からユーザーの個人情報の提供を要請された状況を開示する「各国政府による請求レポート」を公開した。
同レポートによると、今年1~6月の間、74ヶ国からユーザー3万8000人以上に関する情報を求められている。大半が窃盗や誘拐など犯罪捜査関連によるもので、国家安全保障関連によるものよりも多いという。
最も多いのが米国で1万1000~2000件、対象ユーザーは2万人以上にのぼった。フェイスブックはこのうち79%について情報提供に応じたという。次いで多いのがインドで3245件、対象ユーザーは4144人。英国は1975件で、対象ユーザーは2337人。フランス、ドイツ、イタリアも1000件以上あった。日本からの請求は1件で、情報開示には応じていない。
フェイスブック法務責任者のコリン・ストレッチ氏は「厳重なプロセスで、各国政府のデータ要請に対処している」「法的な不備を見つけた場合や対象が広すぎる場合は情報提供を拒否している」と語った。同社は今後、こうした開示レポートを定期的に公開する予定としている。
海外各紙は、米国の規制に対する各団体の見解などを報じた。
【ネット監視の合法性】
6月、米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者が、米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集活動を暴露した。
同氏は、NSAが「プリズム」というネット監視システムを使って、大手IT企業のサーバーから個人情報を広範に収集していると語りっており、以降米国において、国家安全保障の名のもとでのネット監視の規模と合法性について懸念が高まっていた。
ただ、フェイスブックのレポートからは、米国の数字について、外国情報監視法(FISA)改正法の702条に基づいた、令状なしでの非米国人の通信傍受を考慮しているかは不明だとガーディアン紙は指摘した。
【米国の規制】
今回、米国については、米国の規制により正確な数字は開示していない。米グーグルや米ツイッターなども同様の情報公開を先行して行っているが、企業側は米政府に、正確な数字と具体的な要請内容を公開できるよう働きかけている。
人権団体「プライバシー・インターナショナル」は、「政府は企業に、受けた命令についてもっと自由に公開できるようにすべき時期だ」との見解を示したとフィナンシャル・タイムズ紙は報じた。
ワシントンに本拠を置く非営利団体「民主主義と技術のセンター」もまた、オバマ政権に対し、「ハイテク企業が米政府の請求件数と範囲をさらに詳しく公開できるようにしてほしい」との声明を出したと、ワシントン・ポスト紙は報じた。