中国政府のジレンマ 不動産バブルを止められない理由とは?
中国国家統計局の発表によると、中国の主要都市70のうち62で、7月の新築住宅価格が前月比上昇となった。57都市では、新築だけでなく中古住宅の価格も上昇していた。
6月よりは値上がりが鈍化しているが、前年比ベースで見れば、新築住宅は70都市中69都市で値上がりである。特に広州と深センでは17%、北京と上海では14%の高騰となっている。
【余り金の投資バブル】
フォーブス誌は、富裕層が不動産を投資先に選んでいることが原因と分析する。貯蓄口座では割に合わず、かといって各種市場は不安定なためだという。国家統計局も、需要増に加えての地価上昇が原因と声明を出している。
【中央計画規制の泣き所】
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、2013年前半における融資急増と、一部の都市における住宅購入規制緩和が組み合わさったことが、価格上昇に貢献したと指摘する。
政府は以前からバブルを警戒し、頭金割合引き上げや課税強化などの規制路線を敷いてきたが、中国の成長が鈍化しているのに対し、不動産部門は各種産業への経済効果が大きいため、規制を強化し過ぎることには不安があるようだ。
また、統計対象となったような大都市での需要増の一方で、小都市では供給過多に陥っており、全国統一的な政策をとることが難しいという。そのため、一部の都市では規制の緩和も行われていた。
政府がこれにどう対処するかについて、ブルームバーグは、中央による指示よりも各都市の実情に合わせて自主的な不動産政策を取らせる、規制や緩和ではなく供給増によって対処する、といった専門家の観測を伝えた。
李克強首相は先月、スラム街の再開発や基本インフラの改善を提唱しており、また16日の閣議後声明では、不必要な管理を削減し、経済における国家の役割の変革を支援する、と述べている。