18ヶ月ぶりにユーロ経済回復の兆し 海外紙は厳しい見方

 14日、ユーロ圏17ヶ国の第2四半期GDPが、前期比0.3%(年率1.1%)の成長となったと発表された。プラス成長復帰は18ヶ月ぶり。

 だが、各紙いずれも楽観ムードはない。

【プラスの国は限られる】
 プラス成長の国はポルトガル1.1%、ドイツ0.7%、フランス0.5%などとなっている。救済対象国であるポルトガルが0.1%減との予想を覆して最速の成長を遂げたことは驚異的であるが、「今年のイースター休暇が比較的早いことに一部原因がある」とも指摘されている。ドイツは、冬の間大雪で建設作業などが滞った影響が終わって、春から回復に入っていたと報じられている。フランスはエネルギー消費量や自動車販売など、個人および公共支出が好調であったという。

 一方、オランダやイタリアは0.2%、スペインは0.1%の収縮となっており、以前より緩やかではあるが、なおもマイナス成長である。

 ユーロ圏経済全体としては依然、世界金融危機が猛威をふるい始めていた2008年初頭よりも3%小さいと指摘されている。

【年1%では失業は減らない】
 来月に総選挙を控えたドイツなどでは、政治家は緊縮財政路線の成果による回復だと強調している。

 しかし専門家らはいずれも、高失業、貸し渋り、銀行再編、国家債務など、ヨーロッパに山積する問題を考えれば、この程度の成長率ではまるで足りないとして、自己満足ムードを戒めている。

 例えば、金融危機前のヨーロッパ企業は、年間1%程度の生産性向上傾向があった。従って、それと同程度の経済成長では、新規雇用や設備投資の必要がないということである。「年2〜3%の成長率が3〜4年続くなら森を抜け出せる」ものの、専門家らの大勢としては、今後成長は加速どころか鈍化に向かうと見ているようである。

Text by NewSphere 編集部