スノーデン氏、ロシアへ一時亡命 米露関係への影響は?

 ロシア政府は1日、アメリカ国家安全保障局の元職員エドワード・スノーデン氏の一時亡命を認めた。一時亡命が認められ、スノーデン氏は、それまで留まっていた、シェレメチェボ空港のトランジットゾーンから1ヶ月以上ぶりに離れることとなった。その際には、ウィキリークス職員のサラ・ハリソン氏が同行していた。

【スノーデン氏の声明とウィキリークス】
 スノーデン氏はウィキリークスを通じて声明を発表し、亡命を許可したロシアに対する感謝を強調した。それとともに「この8週間、オバマ政権は国際法も国内法も尊重しなかったが、最終的には法の勝利を迎えた」と、アメリカ政府を批判した。

【アメリカ側の反応】
 ロシア側がスノーデン氏の亡命を認めたことに対し、カーニー米大統領報道官は「深く失望した」と声明を出している。米国はスノーデン氏について、反体制の内部告発者ではなく、重要な国家機密情報を漏洩した犯罪者であるという見解を示している。

 また、ロシアが同氏をアメリカに強制送還することには十分な法的正当性があるとしており、それについてはスノーデン氏に亡命許可を出す可能性があった他の国々と同様に、協議を行ったとした。対して、ロシアが事前の知らせもなく、一時亡命の許可を出したことに対して、アメリカは不信感を抱いているという。

 このことは、緊張状態にある両国の関係を悪化させる要因となりうる。9月にモスクワで行われる予定の、両国首脳会談にも影響する可能性があると報じられている。

【スノーデン氏の今後の動向】
 今回の一時亡命についてガーディアン紙は、7月12日の段階では、スノーデン氏にとってロシアは、南米の国への亡命を達成するまでの一時的なものであったと報じた。

 一方、ワシントン・ポスト紙では、スノーデン氏は長期的にロシアにとどまる様子であると報じている。スノーデン氏は現在、ロシア語クラスの受講について話しているとし、ロシア国内において職を探しているという情報も報じられている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、ロシアの人気SNS「フコンタクチェ」から、スノーデン氏にプログラマーのオファーが提示されたという。

 また、今後、スノーデン氏の父親であるロニー氏がロシアを訪問する可能性が高いことも報じられている。同氏はテレビ番組内で、息子の亡命許可に対して、ロシアとプーチン大統領への感謝を述べたという。

Text by NewSphere 編集部