消費増税でダメージ5兆円?

 日本の消費税は、経済情勢を鑑みたうえで2014年4月に8%、2015年10月に10%へと、増税される計画になっている。金融緩和による株価やGDPの上昇、そして今月参院選での与党大勝を受け、安倍政権がいつ増税是非の最終決断を下すかが注目されている。菅官房長官や政権側近は、「秋の国会召集までに」決断がなされると示唆している。

【増税見直し派】
 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズは、デフレ脱出兆候を示している日本経済が消費税増税で傷つくと警告した。

 ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では、計画通り増税の第1段階が来年実施された場合、景気後退に陥る確率が30%あるという。

 さらに、増税による個人消費への打撃から経済を緩衝するには、追加の刺激が5兆円かかるという。

 また、過去の増税時に有権者の反対に遭った経験から、自民党議員こそ増税に反対するだろうとも指摘されている。

 各紙は、政権顧問である浜田宏一氏を含め、増税そのものに反対ではないが増税幅を毎年1%に抑えるべき、などという専門家らの意見を伝えている。

【増税決行派】
 麻生財務相と財務省、それに国際通貨基金(IMF)も、増税しなければ先進国中最悪の債務レベルを好転させられず、金利上昇につながると主張している。

 29日には、日銀の黒田総裁が、「2段階の消費増税が日本経済の成長に大きな被害を与えることはありません」と述べ、増税に賛意を示した。ただし各紙は、黒田総裁が、伝統的な増税支持者である財務省の出身であることを指摘している。

 これを受けて株価は3.3%下落し、円は1ドル0.2円上昇、10年債利回りは1ベーシスポイント上昇した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、金利上昇で影響を受ける債券トレーダーらの間では、増税決行はすでに既定事項だと報じた。また、安倍政権が単に、現在の消費税法案を廃止して代案を国会に通す手間を嫌うとの、専門家の見方も伝えている。

Text by NewSphere 編集部