中国の輸出が急減 それでも政府が動じない理由とは?
中国は10日、6月の輸出が前年同期比3.1%減であったと発表した。欧州への輸出は8.3%減、米国へは5.4%減であり、各紙は外需の弱さが反映されたと報じている。前月は1.0%増であり、マイナス成長は2012年1月以来(休日のない月に限れば2009年11月以来)である。
輸入も0.7%減(前月は0.3%減)で、内需もまた弱いことが示された。このため差し引き貿易黒字は前月の204億ドルから270億ドルへと拡大した。
【市場の予測、大外れ】
CNBCは、輸出4%増・輸入8%増とのロイター事前予測が大外れであったと報じた。
ただしエコノミストらによると、今年通年でGDP7.5%増との予測は、金融条件が悪化しない限り、今回のデータだけでは大きく揺るがないという。中国の年率GDP成長率は2011年に9.3%、昨年は7.8%、今年第1四半期は7.7%と、鈍化傾向にある。
一方フィナンシャル・タイムズ紙は、今年のGDP成長率が7%を割る確率は「30%」と見るエコノミストも紹介している。
【コスト増で海外からの魅力減】
輸出の低迷について各紙は、世界不況に伴う一般的な外需減や、人民元レートの上昇を指摘している。
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、サービス部門の拡大や生産人口減によって労働需要が供給を上回りつつあることなどから賃金が上昇しており、外注コストの面でベトナムなどのライバルに押されていることも指摘する。
【動じない中国政府】
それでも李克強首相ら中国政府は、こうした成長の鈍化に寛容だと報じられている。
むしろ、政府は投資過熱や違法投資流入を警戒しており、6月には経済の流動性を減らすために銀行融資を抑制しようとした。
消費者物価インフレ率も政府目標より低く、生産者物価指数は16ヶ月連続デフレであったが、李克強首相は、経済は安定しているとして刺激回避を繰返し声明。「経済成長率、雇用、その他の指標が我々の下限値以下に落ちず、インフレが上限を超えない限り、[我々は]改革の再編・推進に集中するでしょう」などと語っている。