決断力のある中国 「独自に」ガス田開発のねらいとは?
菅官房長官は3日の定例記者会見で、東シナ海の日中中間線付近の中国側海域で、中国によるガス田掘削施設の新設作業を確認したと述べた。菅長官は、同海域での天然資源の一方的な開発は認められないと批判し、中国に「重大な懸念」を伝えた。
一方、中国外務省の華春瑩報道官は同日、「自国の海域で探査活動をしているだけで、日本側の抗議は受け入れられない」と表明。中間線に関しては、「日本の一方的な主張であり、中国側が認めたことはない」と従来の姿勢を強調した。
ただ、華報道官は、話し合いで解決できるよう(日本が)良い雰囲気と条件を作ることを望む、と述べている。尖閣問題などでの日本の譲歩を求めている可能性もある。
海外各紙は、日中間の緊張に新たな問題が生じたと報じた。
◆東シナ海をめぐる争い
日中の排他的経済水域(EEZ)の境界を巡っては、日本が両国海岸から等距離の中間線を主張しているのに対し、中国は、より日本寄りの沖縄トラフ(海底の溝)までが自国の大陸棚であると主張している。両国は2008年に同海域での境界問題を棚上げし、ガス田の共同開発で合意したものの、実現していない。
今回問題となった場所は、日本が中国との排他的経済水域(EEZ)の境界線と位置づける「中間線」から、中国側に約26キロの海域。日本は近辺の自国側に埋蔵しているガスを吸い上げられることを懸念しているとBBCは報じた。
なお人民日報傘下のグローバル・タイムズ紙は、日本政府の尖閣諸島国有化が両国の緊張を高め、さらに、石油やガス田を開発している中国側海域に、日本が何度も巡視船や航空機を派遣していると報じた。
◆別の緊張要因
3日、東京で行われた党首討論会での安倍首相の発言も中国の反感を買った。安倍首相は、かつて日本が中国を侵略し、朝鮮半島を植民地支配したかどうかについて見解を示さず、歴史家に判断を委ねるべき、と述べた。
これに対し中国の華報道官は、「日本の軍国主義による侵略戦争はアジアの周辺国に甚大な苦痛を与えた」「これに関する動かぬ証拠があり、歴史は否定できない」との認識を述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、安倍首相を「誇り高いナショナリスト」と評し、首相就任から半年たっても、いまだ日本と中国・韓国との首脳会談が実現していない理由に、この点に関する認識の差があるのではと指摘した。