ASEAN会議で明らかになった、米国の課題
東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が2日、ブルネイで行われた。主な議題は北朝鮮の核開発問題や南シナ海の領有権問題であった。
海外紙は、特に米国・中国の行動に着目して報じている。
【北朝鮮問題】
北朝鮮の核開発問題をめぐっては、日米韓3ヶ国を中心に、非核化へ向けて具体的行動を取るよう要求した。
一方北朝鮮は、米国こそが問題の元凶として、抵抗の姿勢を崩していない。北朝鮮の朴義春外相は、米国が敵対的行動をやめれば対話に応じるとの意向を示した。北朝鮮当局は、核開発は米国から自衛するために必要なものという見解を示している。
対して中国の王毅・外交部長は、「6ヶ国協議の議長として中国側は、その共通の目標に向かって協調し、朝鮮の核問題に関する協議再開条件を整えるよう、すべての関係者に奨励する」などと、北朝鮮に公然と譲歩を迫った。
これについてケリー米国務長官は、中国の声明を称賛した。
【領土紛争をかわす中国】
またウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ケリー長官の現地入りが1日遅れている間に、中国が南シナ海の紛争についての協議を主導したと報じた(ケリー長官はパレスチナで和平交渉仲介に臨んでいた)。
これまで中国は、フィリピンなど近隣各国から強く批判されていたものの、自国の主張は撤回せず、当事国同士で解決すべきとの立場だった。だが今回、従来嫌っていた、海上での「行動規範」を定めるASEANとの協議の開始に同意した。
ただしサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙は、単なる圧力逃れの策略であり信用できないとの、米高官の見方を伝えている。
【米ロ関係】
ケリー長官とラブロフ露外相は、スノーデン氏の引き渡しやシリア内戦について協議したと報じられた。
米情報収集プログラムを暴露したスノーデン氏は、いまだモスクワの空港のトランジットゾーン内に滞在しており、身動きが取れない状況にある。米国は引渡しを求めているが、ロシアは拒否する姿勢であり、本件に関しては成果は無かった模様だ。
シリア内戦においては、ロシアはアサド政権側、米国は反体制側を支持している。停戦のための国際会議開催での合意を確認したことのみ報じられている。