追い詰められたスノーデン氏 最後の打ち手は?
エドワード・スノーデン氏は1日、ロシアの空港に到着してから初めて沈黙を破り、米国政府を痛烈に批判する声明を発表した。声明では、スノーデン氏のパスポートを無効にしたことや、亡命を妨害したことなどを批判している。
【米国がスノーデン氏を追い詰めていった経緯】
当初滞在していた香港では、米国政府から香港政府へ、スノーデン氏の身柄の引き渡しが要求された。米国と香港の間には犯罪者の身柄引き渡し協定が結ばれていたものの、香港側は書類の不備等を理由にすぐに応じなかった。その間、スノーデン氏はモスクワへ出国し、空港にてエクアドルへ亡命する意向を示していた。
エクアドルには米国から経済的な圧力がかけられた。ラテンアメリカの国々は、対外輸出の40パーセントをアメリカが占め、エクアドルも石油の80%は米国に輸出している。
米議会では、エクアドルから米国への関税優遇措置を更新しない、という議論などを通じて圧力をかけた。さらにバイデン副大統領からエクアドルのコレア大統領への電話があったとも報じられている。結果的に、30日、エクアドルはそれまでのスノーデン氏への支援を引き上げることを決定した。スノーデン氏はモスクワの空港で立ち往生することとなった。
【亡命に関する今後の動きは?】
ロシアのプーチン大統領は、スノーデン氏を米国に引き渡す意向がないことを示していた。また2日には、スノーデン氏が現在シェレメーチェヴォ国際空港のトランジットゾーンにいることを明かし、スノーデン氏が果たした役割をたたえたと報じられている。
ガーディアン紙は、プーチン大統領の米国への敵意を考えると信じがたいことだが、スノーデン氏は明らかに何者かによって身柄を隠されていると報じた。ただ、プーチン大統領は本件へのロシア情報機関の関与を否定している。
同紙は、ロシアにとって最良のシナリオはスノーデン氏が第三国へ亡命することだが、受け入れ先が難しいためそのままロシアにとどまるのではないかという見解を示している。
一方ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、スノーデン氏がロシアに出国したことは、当初よりもリスクは高そうで、香港にとどまっていた場合より状況は悪化していると指摘した。同氏にとって最善の選択肢は、香港政府か国連難民高等弁務官(UNHCR)に亡命申請を出すことだろう、と述べる香港の弁護士もいるようだ。