「反長官」香港デモ 海外紙が指摘する「失政」とは?
香港で1日、10万人以上がデモを行い(主催者発表では43万人)、「本当の普通選挙」の実施、香港トップの梁振英・行政長官の辞任などを訴えた。
この日は、香港が中国に返還されて16年目。過去にも7月1日にはこのような大規模デモが行われていたが、今回の参加者数は前年度を上回る規模であったようだ。
台風による大雨をものともしない勢いのデモは、開始より1時間程で警察との衝突も見られたとサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(香港)は報じている。
【参加者の怒りの原因】
海外各紙は、デモ参加者の多くが、梁振英長官の辞任を求めていることを報じている。
梁長官が率いる政府は、高官らがスキャンダルなどで相次ぎ辞職している。
また、普通選挙の実施がほぼ決まっている2017年の行政長官選挙を巡って、中国の高官が親中派以外の立候補を牽制する発言をしており、今回のデモでもそれに対する反発の声が上がっていた。
ガーディアン紙は、「一国二制度」の香港は、中国より遥かに自由を謳歌しているとしているが、デモに参加した学生が「梁振英長官の元では本当の民主主義を謳歌できない」とコメントしていることも紹介している。
さらに、「愛国意識」を高める小中学生向け「国民教育」についての不安を訴える参加者もいた(なお国民教育の必修化は、市民の反対を受けて撤回されている)。
【政府の対応】
政府はこのデモを受け、同日声明を発表し、普通選挙の実施に向け着実に準備を進めると述べたことをウォール・ストリート・ジャーナル紙は伝えている。
同紙はまた、梁長官は貧富の格差への対処を最優先としていることを取り上げ、このことが、民主化の推進が不十分との批判を強めていると指摘している。