韓国・北朝鮮のサイバー攻撃被害は「戦争ごっこ」?

 朝鮮戦争開戦から63年にあたる6月25日、韓国と北朝鮮の政府機関が大規模なサイバー攻撃を受けた。
 韓国では、大統領府(青瓦台)や一部テレビ局など計16機関が、ウェブサイトの書き換えや通信障害などの被害にあった。ほとんどは数時間で復旧したという。
 北朝鮮では、政府機関や国営メディア「朝鮮中央通信」などのサイトが、通信困難あるいは不通となった。
 海外各紙は、これらのサイバー攻撃について、両政府の困惑やハッカーの目的を報じている。

【アノニマスによる攻撃か?】
 国際ハッカー集団「アノニマス」は25日、Twitterアカウントで、北朝鮮への犯行声明を発表した。彼らはもともと、#OpNorthKorea(オペレーション・ノース・コリア)と呼ぶ北朝鮮への攻撃を25日に開始すると予告していた。
 しかし、韓国に対して攻撃してはいないと主張している。

 サイバー攻撃では、韓国に対しては北朝鮮の金正恩第一書記を讃えるメッセージが残され、北朝鮮に対しては反政府のメッセージが発信されている。ワイアード誌は、犯行グループは「朝鮮戦争ごっこ」を楽しんでいたのではないかと推測している。
 なお北朝鮮は22日、「アノニマスは米国と韓国に操作された集団」と国営放送を通じ非難していたが、25日にはコメントを発表していない。

【韓国のサイバー攻撃対策】
 韓国政府は今回の攻撃に対し、ネット上の活動監視を強化し、サイバー攻撃対策チームがウェブサイトとサーバーを調査していると説明した。
 なお軍事部門の被害、重要な情報の漏洩や経済的な被害はないという。

 韓国では3月20日、放送局や銀行のコンピュータがサイバー攻撃を受け、数日通信網が麻痺するという事態が発生していた(北朝鮮軍が関与と後に判明)。その後サイバー攻撃に対する防衛を強化しようと模索していたところだったと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じている。

 同紙によると、韓国政府は、近年の同国への一連のサイバー攻撃は北朝鮮によるものだとみているようだ(北朝鮮は否定)。
北朝鮮のハッカーは、主に中国に本拠をおいていて、10ヶ国のコンピュータを経由しマル・ウェア(悪質なコをばらまくという高度な攻撃を行っているという。

Text by NewSphere 編集部