北朝鮮が「ドタキャン」 またも翻弄される韓国・朴大統領
韓国と北朝鮮は、12日から行われる予定だった2国間協議を中止した。
両国は9日、軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)で、2011年2月以来となる予備会談を行い、開城(ケソン)工業団地の再操業などを議題とすることなどが決まっていた。
しかし、12日からの協議に出席する代表者の政治的ランクをめぐり、両国の意見が対立し、物別れとなった。
海外各紙は、今回の話し合いをまとめることができなかった両国の主張を報じている。
【北と南、意地の張り合い】
韓国は9日の会談当初、代表者について、韓国側が柳吉在(リュ・ギルジェ)統一相、北朝鮮側が金養建(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党統一戦線部長と提案したようだ。
しかし北朝鮮が、双方の政治的ランクが不釣合だと反対した。そこで、引き続き行なわれた11日の話し合いでは、韓国が金南植(キム・ナムシク)統一部次官を選定したのに対し、北朝鮮側は姜志英(カン・ジヨン)祖国平和統一委員会書記局長を選定したが、両方受け入れられないと主張した。
さらに北朝鮮は、韓国の大臣が2国間協議にひとりも出席しない事実を知り、話し合いを中止したという。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、北朝鮮は、韓国側の選定は到底受け入れられないもので、予備会談中止の責任は相手にあると非難したという。韓国は自国の提案通りに代表をと要求しているが、北朝鮮は会談の無期限延長を主張しているようだ。
ニューヨーク・タイムズ紙は、北と南では政治システムが違うので、代表者の釣り合いを計るのは難しいと指摘している。
また、プライドを気にして話し合いを台無しにすることは、緊張緩和の機会を無駄にしているとして、「本当に問題を解決したいなら、もっと柔軟な対応をするべきだ」という専門家のコメントを取り上げた。
【朴大統領の対北朝鮮政策】
北朝鮮との交渉は、両国間の信頼構築を提唱している朴槿惠(パク・クネ)大統領にとって重要な課題だ、とフィナンシャル・タイムズ紙は報じている。
朴大統領は、北朝鮮と対話の努力を続けながらも、挑発と対話を繰り返す北朝鮮の「悪意の循環」を断ち切る毅然とした政策で、国民の支持を得ているという。これは、李明博(イ・ミョンバク)前大統領の強硬路線と、それ以前の友好路線の間をゆく政策のようだと同紙は分析している。
韓国政府の関係者は、「対話の窓は依然開いている」と述べている。しかし、会談の再設定の見通しはたっておらず、北朝鮮は南北直通電話に応じていないという。