中国経済 成長に陰り?その影響は
9日の国家統計局の発表によると、5月の工業生産はエコノミスト予想中央値(9.4%増)を下回る、前年同月比 9.2%増にとどまった。
また同月の輸出額は10ヶ月ぶりに最低を記録し、輸入額は予想に反して減少。中国当局が偽インボイス(税関で必須の書類)の取り締まりを強化した影響も指摘されている。
海外各紙は、中国経済の景気減速の背景と影響について報じた。
【政府の見解と世界の目】
インフレが鈍化し、投資額や銀行融資も減少している中、習近平国家主席の手腕に注目が集まっている。
習主席は、1-3月期(第1四半期)の成長率が7.7%で、前期の7.9%から減速はしたものの、国内経済の質と効率性を高めるうえでは好ましいと述べた。また李首相は、共産党の役割を減らし、より民間投資の解放を約束すると国営新華社通信は報じている。
一方専門家からは、失業率の悪化など目立った変化が見られなければ、中国政府が大胆な改革に乗り出すことはないという意見もあがっている。
IMFは、今年の中国の成長予想を7.75%に下方修正した。中国で進行中の構造改革や貸出ペースの抑制などが、短期的には成長率を鈍化させると指摘。また、社会融資の伸び抑制を優先課題にするべきだとの見解も示している。
【国内の課題】
7日、中国人民銀行は、審査基準に満たない融資が金融システムのリスク増大を引き起こしたと通告した。金融規制当局もまた、2010年から国有銀行などに対し融資を抑えるよう強く求めていた。ただ、多くの融資は、地方政府を含めた不動産やデペロッパーなどに対し、地下鉄や高速、空港などのインフラ整備のためのものであり、今後の影響が懸念されている。
他方、国家審計署によると、地方政府の債務総額は2012年末時点で3兆8500億元(約62兆円)に及ぶという。問題の地方政府は15省と3直轄市にあり、上海、天津、重慶など主要都市の政府も含まれている。中には、借金の返済のために借金を重ねる「自転車操業」もみられ、返済期限を超過した債務額は181.7億元(約2900億円)に上ると国営新華社通信は伝えている。