GDP上方修正 それでも海外紙が指摘する日本経済への懸念とは?
政府は10日、速報値で0.9%(年率3.5%)増とみられていた第1四半期のGDP統計を、1.0%(年率4.1%)増に上方修正した。また4月の経常黒字は7500億円で、3000億円強との市場予測を大幅に上回った。さらに、5月の消費者態度指数(今後6ヶ月で景気が上向くと考える消費者が多数なら50を超える)は45.7で、4月の44.5から上昇した。
【上方修正の要因】
フィナンシャル・タイムズ紙は、アナリストらが「上方修正のほとんどは在庫水準の変動の再評価によるものであった」と評していることを報じた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、円安による海外利益の記録的な膨張や、消費支出改善に遅れをとっていた企業設備投資の改訂(0.7%減から0.3%減)を挙げている。
【株価急騰と今後の見通し】
さらに10日には、日経225株価指数は4.9%、TOPIX指数は5.2%、それぞれ急騰した。
ニューヨーク・タイムズ紙は、皮肉なことに、米国の雇用データが今一つであるためFRBの刺激策がまだ続くと予測されたことや、日本の長期金利上昇が安定し始めたことが、投資家を安心させたと報じた。
株式市場はこのところ乱高下を繰り返している。ニューヨーク・タイムズ紙は、今後株価の上昇ペースは鈍化するだろうが、長期的には適切な水準になるとの専門家の見方を紹介した。
【海外紙の懸念】
とはいえ各紙とも、日本の財政赤字の高さは重大な懸念事項と指摘している。また、原発事故以来の輸入燃料依存増に円安が加わり、貿易赤字を押し上げていることも懸念する。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、海外移転された生産が円安によって国内に戻ってくると政府は期待しているのに対し、実際は、企業戦略の結果として産業が空洞化しているのであり、この流れは円安であっても容易に止まらないとみている。
また、大企業への融資は伸びているが、中小企業向けは低迷していることも指摘されている。